スパイ小説のおすすめ15選 海外小説や日本の作家が生み出した傑作を紹介
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政府や組織に雇われて敵のアジトに潜入し、秘密裏に情報を得るスパイは、老若男女問わず魅力的な存在です。
中には、スパイアニメの影響でスパイ小説に興味を持った、という人もいるのではないでしょうか。
今回はスパイを題材にした日本・海外小説の傑作を厳選して紹介します。
作品のあらすじや魅力、おすすめポイントなどもあるので、ぜひチェックしてみてください。
スパイ小説の特徴とは?
スパイ小説はスリル溢れるストーリー展開、緻密な筋書き、魅力的な登場人物、そしてリアルな描写、そんなエンターテイメント性とリアリティを兼ね備えた特徴を持つジャンルです。
また、主人公がスパイである必要はなく、スパイを見つけることや捕まえることもスパイ小説の特徴といえます。
それ以外だと、中心的登場人物が国家や政府が行う諜報・謀略によって動かされていることを描いた作品もスパイ小説といえるでしょう。
有名なスパイ小説作家は?
スパイ小説の書き手として有名な海外小説作家もいます。
そのため、どんなスパイ小説を読もうか悩む人は作家から選ぶのもよいでしょう。
イギリスはスパイ小説の本家といわれ、イアン・フレミング、ジョン・ル・カレなどが定番のおすすめです。
またサマセット・モームなど、諜報部員としての経験を活かした海外小説作家もいます。
【アンケート調査】おすすめの面白いスパイ小説は?
ブックスコレクション編集部がスパイ小説が好きな115人にアンケートを実施。
ランキングの1位は『007 カジノ・ロワイヤル』、2位は『ジョーカー・ゲーム』、3位は『寒い国から帰ってきたスパイ』となりました。
続いて、それらの海外・日本のスパイ小説が好きな理由も調査。
ランキング上位のスパイ小説について、回答の一部を抜粋して紹介します。
作品名 | 好きな理由 |
---|---|
『007 カジノ・ロワイヤル』 | 「普段とは違ったカジノを舞台にした、主人公のジェームズボンドの姿が緊迫感があって飽きないストーリー展開になっていたのが良かった」 |
「むさ苦しく泥臭い格闘劇に引き込んでくれるのが魅力的だから」 | |
「MI6の活躍がかっこいい」 | |
「とても読みやすくて臨場感溢れる小説」 | |
『ジョーカー・ゲーム』 | 「頭脳戦などが面白いだけではなく、戦争について考えるきっかけを与えてくれるから」 |
「心理戦と人間関係のはらはら感が伝わってきて読み応えある」 | |
「耳馴染みのある場所などもあり登場人物もバラエティーに富んでいるので推しスパイがきっと出てくる」 | |
『寒い国から帰ってきたスパイ』 | 「著者ル・カレの代表作にしてスパイ小説の金字塔ともいえる古典的名作。東西冷戦の緊迫感とそこで奮闘する人物たちの葛藤がスリリングに描かれています」 |
「カレの実体験に基づく表現がリアルで面白い」 |
・調査対象:スパイ小説が好きな115人
・調査期間:2023年11月
・調査方法:インターネットによる対象者へのアンケート
・調査機関:ブックスコレクション編集部
【海外小説】傑作スパイ小説おすすめ8選
スパイと聞いて思い浮かぶのは西洋諸国やソ連などの国。
映画化されたものもある、スパイを題材にしたおすすめの傑作海外小説を紹介します。
パンドラ抹殺文書
KGB上層部に潜り込むCIAの二重スパイ「パンドラ」の正体を暴く鍵となる文書が、手違いである女性の手に渡ってしまいます。
文書を巡って彼女の命が狙われたところをCIAの凄腕エージェント、ジェームズが救出に成功しますが、CIA上層部から彼女を抹殺しろと指令を下されてしまうのでした。
非情で残酷な謀略戦に巻き込まれた二人の運命やいかに。
まさかのラストシーンにきっと騙されることになるでしょう。
冒険譚のようなスパイ小説にハラハラドキドキが止まらない海外小説
発売日 | 2006年3月23日 |
出版社 | ハヤカワ文庫 NV |
著者 | マイケル・バー=ゾウハー |
英国諜報員アシェンデン
物語はロシア革命と第一次世界大戦の最中、イギリスとドイツの間で繰り広げられる諜報戦の日常を背景に進んでいきます。
イギリスのスパイであり作家のアシェンデンは諜報活動を行う中でヨーロッパ各国の人々に出会い、何を思うのでしょうか。
著者自身の実体験を元に、リアルに描かれたスパイがこの作品の魅力のひとつです。
派手なアクションはないのに小説の世界に引き込まれてしまう感覚をぜひ味わってください。
実際に情報部員として活動した作者のおすすめ傑作スパイ小説です。
発売日 | 2017年7月1日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | サマセット・モーム |
レッド・スパロー 上
女スパイを主人公にしたスパイ小説のひとつで、映画化もされた海外小説。
スパロースクールと呼ばれるハニートラップエージェント養成所に通うことになったドミニカは、あらゆるテクニックを叩き込まれるだけでなく実技も徹底的に仕込まれていきます。
やがて彼女は命を受けCIA局員に機密情報を流し続けるスパイの名を聞き出そうとするも、その任務は敵国アメリカにとどまらず祖国ロシアからも狙われることになってしまうのです。
次はどうなるのか、と先を読む手が止まらない女性スパイ小説です。
発売日 | 2013年9月20日 |
出版社 | ハヤカワ文庫 NV |
著者 | ジェイソン・マシューズ |
007 カジノ・ロワイヤル
党の資金を使い込んでしまったためカジノで穴埋めしようとするソ連の大物工作員を破産させるため、イギリスからスパイが送り込まれます。
そのスパイとは、イギリスが誇る秘密情報部の中でも腕利きでダブル0のコードを持つ男、ジェームズ・ボンドです。
海外のみならず日本でも有名なスパイ映画「ジェームズ・ボンド」シリーズですが、原作である小説はこのカジノ・ロワイヤルから始まりました。
フレミングの長編シリーズ第一作目にして傑作のスパイ小説です。
発売日 | 2019年8月22日 |
出版社 | 東京創元社 |
著者 | イアン・フレミング |
窓際のスパイ
主人公カートライトは訓練中に取り返しのつかないミスをしてしまい、ある部署へと送り込まれます。
そこはイギリス情報部の中でも最下層の「泥沼の家」と呼ばれる部署でした。
彼はそこで連日ゴミ漁りのような仕事をさせられる中で絶望を感じていました。
しかし、イギリス全土を揺るがすとんでもない事件に巻き込まれ状況は一変します。
「泥沼の家」のメンバーは果たして無事に解決することができるのでしょうか。
落ちこぼれスパイの下克上に勇気をもらった人も数多くいるでしょう。
発売日 | 2014年10月10日 |
出版社 | 早川書房 |
著者 | ミック・ヘロン |
ヒューマン・ファクター
イギリス情報部に勤める主人公カッスルは退職したいと思っていましたが、愛する家族のために二重スパイとなり職務を全うしようとします。
しかし、妻と子どもを守るために祖国を裏切らざるを得なくなってしまいました。
ドキドキワクワクするような派手な演出はなく、仕事と家族を天秤に掛けられた時の葛藤について描かれているなど、スパイとはいえ人であることに気づかせてくれます。
リアルな人の心の描写に引き込まれ、考えさせられる作品です。
発売日 | 2006年10月12日 |
出版社 | 早川書房 |
著者 | グレアム・グリーン |
ザ・フォックス
イギリスに18歳の天才ハッカー少年がいました。
その能力を買われ、イギリス首相の安全保障問題担当顧問からコードネーム「フォックス」を与えられます。
彼に命じられたミッションは、敵国のシステムに侵入し痕跡を残さず秘密工作を行うこと。
しかし、敵国に天才ハッカーの存在が気づかれてしまいます。
危険な核保有国との頭脳戦の結末やいかに。
ハッキングなど現代的なスパイ小説が読みたい方におすすめです。
発売日 | 2020年3月3日 |
出版社 | 角川書店 |
著者 | フレデリック・フォーサイス |
寒い国から帰ってきたスパイ
スパイ小説の巨匠、ジョン・ル・カレの傑作。
舞台はドイツがベルリンの壁によって東西に分断されていた冷戦時代、何が嘘で何が真実なのか、誰が味方で誰が敵なのか、そんな騙し合いの世界です。
イギリスのスパイであるリーマスが作戦に失敗し、二重スパイとなったことから物語は始まります。
常に危険と隣り合わせのスパイが恋をしながらも、組織や国家の駒として扱われる苦悩と叫びを描いた作品です。
スーパーヒーローではなく人間らしく描かれる主人公が魅力的です。
発売日 | 1978年5月1日 |
出版社 | 早川書房 |
著者 | ジョン・ル・カレ |
【日本小説】傑作スパイ小説おすすめ7選
日本の作家が書くスパイ小説は、海外作品とはまた違った魅力があります。
そんな日本作家の傑作スパイ小説のおすすめ7作品を紹介していきます。
猫に知られるなかれ
凄腕のスパイハンターとして名を馳せた主人公、永倉一馬は戦後間もない日本でヤクザの用心棒として荒んだ日々を送っていました。
ある日、永倉はスパイハンターの腕を買われ「CAT」と呼ばれる秘密諜報機関にスカウトされます。
戦争の残酷さや理不尽さ、人々の絶望に対し、生きるため日本の復興のために奮闘する永倉の姿に熱く眩しく感じるでしょう。
肉弾戦など派手な戦闘シーンを求める人におすすめしたい作品です。
発売日 | 2016年10月15日 |
出版社 | 角川春樹事務所 |
著者 | 深町 秋生 |
リヴィエラを撃て 上
1992年、元IRAテロリストのジャック・モーガンは東京で謎の死を遂げます。
背後にある組織、それを追う警視庁、そして浮かび上がってきたスパイ「リヴィエラ」とは一体誰なのでしょうか。
手がかりの少ないリヴィエラの正体を追求していく推理小説です。
小説の中に描かれる人物や風景が魅力的で、中でもピアノを弾くシーンでは実際に音色が聞こえてくるかのように感じます。
風景が細かく描写されているため、地図を見ながら読むとより楽しめます。
発売日 | 1997年6月26日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 高村 薫 |
ざんねんなスパイ
こちらはタイトルや表紙のイラストからもわかるように、コメディ系のスパイ小説。
スパイといえば冷酷で非情なイメージがどうしてもつきものですが、コードネームを自ら名乗ってしまうようなうっかりスパイがこの物語の主人公です。
彼は73歳にしてルーキー、初任務でとある街の市長暗殺を命じられます。
しかし、街にやって来た彼はターゲットの市長と友だちになってしまうのでした。
ヘンテコな街と老人スパイのドタバタコメディ小説です。
発売日 | 2018年8月22日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 一條 次郎 |
猟犬の旗
日本の情報機関に所属する外国人スパイはある任務を言い渡され休暇を取り消されてしまいます。
そして、向かう先々で起こる外国人による日本国内での爆弾テロや銃撃テロに対し、彼はどの旗に忠誠を誓うのでしょうか。
この作品は一人称目線で描かれるために、淡々とした日常に錯覚してしまう不思議さを感じられます。
また、日本人への皮肉を言いながらも日本のスパイとして闘うといった憎めない主人公にぜひ注目してください。
著者による猟犬シリーズ第二作目、傑作アクションスパイ小説です。
発売日 | 2019年6月14日 |
出版社 | 角川書店 |
著者 | 芝村 裕吏 |
ZERO 上
警視庁公安部外事第二課に所属する警察官、峰岸は中国諜報部首脳の恐るべき野望を知り一人で阻止しようとします。
しかし峰岸は日本の公安警察秘密部隊「ZERO」に行く手を阻まれ追い詰められてしまうのでした。
この作品には公安警察の実態、警察内部の駆け引きや権力争い、そして「ZERO」の活動内容について緻密に描かれています。
著者が長年かけて徹底取材を行った末の傑作と言えるでしょう。
今までの警察もの小説のイメージがガラッと変わるかも知れません。
発売日 | 2003年8月29日 |
出版社 | 幻冬舎 |
著者 | 麻生 幾 |
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天路の旅人
第二次世界大戦末期、スパイとして中国に潜入していた西川一三はチベット仏教(ラマ教)の蒙古人巡礼僧に扮して中国の奥地、さらにはチベットやインドへと進んでいきます。
日本の敗戦を知った後もラマ僧に身を隠したまま仲間と共に過酷な旅を続け、出会っては別れを繰り返す中で西川の心境は変化していきました。
困難に立ち向かう勇気、苦闘を乗り越えた先にある達成感、そして旅は終わりを迎えます。
これは、ある旅人の人生を描いたノンフィクション作品です。
発売日 | 2022年10月27日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 沢木 耕太郎 |
ジョーカー・ゲーム
第二次世界大戦前夜の日本、秘密組織「D機関」によるスパイ活動について描かれた作品です。
この物語の主人公は「D機関」に所属するスパイ集団「ジョーカー」たち。
彼らは世界各国のスパイたちと対峙しながらさまざまな作戦を遂行していきます。
描かれる登場人物たちの陰謀渦巻く心理描写はなんといっても魅力的。
もちろん、スパイ小説ならではの策略戦や心理戦も楽しめます。
スパイ小説ファンにぜひ手にとって読んで欲しい作品です。
発売日 | 2011年6月23日 |
出版社 | 角川書店 |
著者 | 柳 広司 |
まとめ
本記事では海外と日本の傑作スパイ小説を紹介しました。
スパイ小説は読者にアクションやスリルといった非日常を味わわせてくれるジャンルのひとつであり、国家や政治、テロリズムなどの問題に取り組んだ作品も多くあります。
また、魅力的な登場人物たちや緻密な筋書き、リアルな描写など読者を魅了する要素も満載。
作品の多彩な魅力に触れることで新たな発見を得たり、スリル溢れるストーリーを楽しんだりしましょう。
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