カテゴリーから探す

映画『ゲット・アウト』をネタバレ考察! 使用人の涙や2つの結末についても解説

Brick House in the Middle of the Woods Under Cloudy Day Sky
出典:Pexels

※本ページにはプロモーションが含まれています

サイコホラーと黒人差別を掛け合わせた、異色の社会派ホラー映画『ゲット・アウト(Get Out)』。
凝った演出や伏線が多いため、一度観ただけではなかなか要旨が掴めなかったという人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、『ゲット・アウト』のあらすじや、伏線、怖い描写をネタバレ込みで考察。
また記事後半では、2つの結末を解説し、映画未公開の怖い結末について紹介しています。

この記事は『ゲット・アウト』のネタバレを含みます。
作品の結末に関するヒントを知りたくない人は注意してください。

目次

映画『ゲット・アウト』のあらすじ

person walking towards house

黒人写真家のクリスは、交際中の白人女性、ローズの実家のアーミテージ家に招かれます。
クリスは黒人である自分がローズと交際することに対して、アーミテージ家に反対されるのではと不安を抱えていました。
そんな心配をよそに、一家はクリスを温かく迎え入れてくれました。
ところが、アーミテージ家の使用人たちはみんな黒人で、ローズの母に突然催眠術を掛けられたクリスは、徐々に不信感を募らせていきます。
やがてクリスは、アーミテージ家の恐ろしい秘密を知ることになります。

読み込むほど怖い、映画『ゲット・アウト』のネタバレ考察

white and red no smoking sign

映画『ゲット・アウト』には作品冒頭から結末まで、いくつもの伏線や黒人差別を暗に示す怖いメタファーが隠されていました。
使用人の涙の理由や使用人ウォルターが走る理由など、『ゲット・アウト』の各場面をネタバレ込みで解説していきます。

鹿に隠された伏線

作品前半、アーミテージ家に向けて車を運転していたローズは、思いがけず鹿を轢いてしまいます。
実はこの場面には、結末に繋がる重要な伏線が隠されていました。
作品に登場した鹿はBlack Buckという種類で、「Buck」には俗語で黒人男性を軽蔑する意味合いがあります。
つまり鹿はクリス自身を表わしていて、「白人に狩猟される黒人男性=クリス」というメッセージが隠されていたのです。

ローズが警官からクリスをかばった理由

鹿を轢いてしまったローズは警察を呼びます。
その際ローズは、警官が同乗者にすぎないクリスにまで運転免許証の提示を求めたことに強く反発します。
このシーンでは、一見ローズがクリスをかばっているように見えますが、ローズの真意はそうではありませんでした。
ローズはクリスがそこにいたという証拠を作らないため、クリスの運転免許証を警察に見せたくなかったのです。

使用人ジョージナがクリスの携帯を触っていた理由

アーミテージ家で開かれたパーティの際、クリスが自分の携帯を取るために2階に行くと、携帯がコンセントから外されていました。
クリスが誰かに携帯を触られたのではと疑っていましたが、結局その犯人は使用人ジョージナでした。
このシーンで使用人ジョージナがクリスの携帯を触った理由は、クリスを外の世界から隔離するため、携帯のデータを消したかったからだと考察できます。

使用人ジョージナの涙の理由

使用人ジョージナが流した涙の理由は、結末に明かされるアーミテージ家の違法な脳移植に繋がります。
ネタバレになりますが、実はジョージナは、アーミテージ家の祖母に脳移植されていました。
祖母は若い身体を取り戻すため、脳移植によりジョージナの身体を乗っ取ったのです。
しかし、ジョージナの中にはまだ黒人としての精神が残っていたため、脳移植されたことに対する悲しみが涙として表れたと考察できます。

使用人ウォルターが全力で走る意味

クリスが深夜に煙草を吸いに外に行くと、使用人のウォルターが全力で走る姿を見つけます。
ネタバレになりますが、実は黒人の使用人ウォルターはローズの祖父の脳を移植されていました。
作品冒頭、ローズの父は「祖父は若いころ陸上大会で黒人男性に負けた」と話しています。
祖父は足の速い黒人男性に憧れがあり、早く走る夢を叶えるためにウォルターの身体を手に入れたのです。

パーティの参加者の服の色が表わすもの、日本人がいた理由

パーティにいた白人は全員何かしら赤のアイテムを身に着けているのに対し、クリスだけが青の服を着ていました。
アメリカでは赤、青は、それぞれ共和党、民主党のシンボルカラーであり、服の色はそのような政治思想の違いを表わしていると考察できます。
またパーティでは白人達の輪に一人だけ日本人がいました。
これは黒人ではなく白人側に属そうとする、ステレオタイプとしての日本人を描いたものだと思われます。

地下室の黒カビの意味

ローズの父はクリスに、「地下室は黒カビが生えてるから、立ち入らないで」と警告していました。
ネタバレになりますが、この地下室は結末でクリスの監禁に使われた部屋。
父の警告には、クリスに監禁部屋を隠す意図があったと思われます。
あえて黒という言葉を使ったのは、より否定的な意味合いを持たせるためでしょう。

椅子に綿が詰められていた意味

作品後半、クリスは地下室に監禁されてしまいますが、クリスが座らされた椅子には綿が詰められていました。
この綿は、黒人奴隷制度の象徴と考察できます。
19世紀、アメリカに連れてこられた黒人奴隷たちは綿を栽培する重労働をさせられていました。

フラッシュと黒人の関係

『ゲット・アウト』では、カメラのフラッシュの音が脳移植された黒人たちが一瞬正気に戻る引き金として描かれていました。
この描写は、2014年にNYで起こった白人警官が黒人を逮捕しようとした時に殺害してしまった事件のメタファーだと考察できます。
事件はスマートフォンのカメラで撮影されたため、裁判で有力な証拠となりました。

ローガンが言った、「Get out」の意味

クリスがローガンを盗撮しようとして、誤ってフラッシュ音を立ててしまいます。
フラッシュを聞いたローガンは、鼻血を流しながらクリスに「Get out(逃げろ)」と叫びます。
クリスも自分と同じように脳移植されないよう、アーミテージ家から逃げて欲しかったのだと考察できます。

ローズの母が持つ、銀のスプーンが象徴するものとは?

ローズの母は銀のスプーンを使ってクリスに催眠術をかけます。
この場面に結び付くのが「born with a silver spoon」(上流階級に生まれつく)という英語表現。
ローズの母が持っていた銀のスプーンは、黒人の労働で収穫されていた紅茶や砂糖を好む上流階級の象徴として捉えられます。

白い車に置かれた鉄のかぶとが象徴するもの

アーミテージ家から脱出したクリスが乗っていた白い車の中には、鉄のかぶとが置かれていました。
このシーンで描かれていたかぶとは、白人至上主義グループのKKKのマスクとどこか似ています。
現在、KKKの活動力は全盛期と比べると弱まりましたが、今でも依然としてヘイトグループとして存在感を持ち続けています。
この場面には、白人至上主義は今でも存在するというメッセージが込められていたのかもしれません。

『ゲット・アウト』の脳移植、催眠術は実際にあるの?

human anatomy model

脳移植は現時点では実現されていない技術です。
脳は非常に複雑な神経接続を持っているため、脳を他の体に移植することは技術的に難しいと言われています。
また倫理的な観点からも、脳移植が人格や人の記憶、意識に及ぼす影響は計り知れません。
一方、『ゲット・アウト』に登場する催眠術については実際に存在します。
催眠術には引き金として何かしらの道具が使われるのが一般的で、本作においてはそれが「銀のスプーン」でした。

『ゲット・アウト』には、もう一つの怖い結末がある!

grayscale photo of 2 dogs in window

『ゲット・アウト』には実は2つの結末があります。
その一つがブルーレイ&DVDの特典映像の「もう一つのエンディング」。
ここではネタバレ込みで、2つのエンディングのあらすじと制作秘話を紹介します。

「もう一つのエンディング」のあらすじ

「ゲット・アウト」の通常の結末は、クリスがアーミテージ家から脱出し、その後親友の警官、ロッドに保護されて、ハッピーエンドというあらすじ。
一方「もう一つのエンディング」では、クリスはアーミテージ家の住人を殺害した罪に問われ、終身刑になってしまいます。
クリスは自己防衛しただけで全くの無実ですが、催眠術の後遺症から警察に上手く事情を伝えることができません。
2つのエンディングのひとつは、救いのない最悪のバッドエンドでした。

なぜ「もう一つのエンディング」が公開されたのか?

監督のジョーダン・ピールは、もともと「もう一つのエンディング」を本作の結末として用意していたと語っています。
しかし映画公開直前、監督は反人種差別活動の芽が実を結び始めている状況に感化を受けます。
そんな中、人種差別から解放されることを望む活動家たちに希望のメッセージを伝えたいと考え、結末を差し替えたのだそう。
その後「もう一つのエンディング」は本来の作品の結末として公開されました。

『ゲット・アウト』の根底にある、マイノリティへの無自覚な差別

man in black jacket holding a black and white photo

『ゲット・アウト』が描いているのは、マイノリティへの無自覚な差別です。
アーミテージ家が黒人をターゲットにして脳移植を企てた動機とは、黒人への身体的な憧れの気持ちでした。
これは一見、差別とは正反対の感情に見えますが、本当にそうでしょうか。
本作で登場する白人たちは、「黒人は足が速い」、「黒人は身体的に優れている」などの発言を、繰り返しクリスに向けます。
こういった人種的なステレオタイプは異人種への無自覚な差別であり、歪んだ優生思想といった考え方を生み出します。

映画『ゲット・アウト』を見る

以上のあらすじ紹介や解説を踏まえて、ぜひもう一度『ゲット・アウト(Get Out)』を視聴してみてください。
本記事でも捉え切れなかった怖い伏線が、まだまだ隠されているかもしれません。

ゲット・アウト

アメリカにおける人種差別を風刺した、異色のホラー映画。
黒人の青年クリスは恋人ローズの家に招かれますが、そこにはおぞましい秘密が隠されていました。
ホラーといっても『ゲット・アウト』には幽霊は登場せず、びっくりさせるような演出も少ないです。
しかし作品のテーマを深く理解すると、胸が痛くなるかもしれません。
また伏線が非常に多いため、怖い映画好きはもちろん、サスペンスファンも楽しく視聴できる作品です。

この作品のおすすめポイント

作品中盤から漂う、ぬるっとした違和感がじわじわ怖いホラー映画

公開日2017年10月27日
監督ジョーダン・ピール
出演ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズ、ブラッドリー・ウィットフォード
楽天で買う Amazon Prime Videoで観る1,500円 Amazonで買う5,900円

まとめ

今回は映画『ゲット・アウト(Get Out)』のあらすじ紹介やネタバレ考察、2つの結末について解説をしました。
『ゲット・アウト』は単に怖いだけではないメッセージ性の強い社会派ホラーです。
登場人物たちが善人、悪人といった単純な構図で描かれていないため、いろんな視点から視聴することができるでしょう。
あらすじ紹介や、使用人の涙や走る理由、フラッシュについての解説を参考に映画を楽しんでください。

※書籍等の発売日は、紹介商品の版元から発売された日を掲載しています。
※各商品の説明文は各ECサイトを参考に作成しています。
※商品は掲載時点の情報を参考にしています。最新の情報は各ECサイトをご参照ください。

目次