近代文学のおすすめ15選 梶井基次郎や谷崎潤一郎の代表作や日本文学の名作も
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日本近代文学は学校の教科書で少し読んだことがあるけれど、取っつきにくそうで最後まで読んだことがないという人もいるのではないでしょうか。
近代文学には長編だけでなく、短編でも読み応えのある作品も多くあります。
この記事では日本近代文学とは何かについてや、おすすめの小説を紹介。
夏目漱石や川端康成など近代文学の有名な作家の代表作や泉鏡花、谷崎潤一郎など、文学初心者におすすめしたい日本文学名作をピックアップしました。
近代日本文学とは?
明治以降に西洋文学から影響を受けて誕生したのが近代日本文学です。
1885年に坪内逍遥が『小説神髄』で、心の奥深くやありのままを描くことが小説に必要だと主張し、近代日本文学が始まりました。
この思想は二葉亭四迷に影響を与え、名作であり彼の代表作でもある『浮雲』が完成。
その後の作家にも影響を与えました。
日本近代文学の名作や有名な作家は誰?
近代日本文学の名作の作家には、国語の教科書に登場するような最高傑作を数多く生み出している人物が多いです。
たとえば『こころ』『道草』の作者である夏目漱石、代表作である短編『地獄変』『羅生門』などを手掛けた芥川龍之介。
他にも出生に秘密のある主人公が登場する『暗夜行路』の志賀直哉、代表作『雪国』を執筆しノーベル文学賞も受賞した川端康成などが挙げられます。
初心者も読みやすい近代文学のおすすめ15選 歴史に残る代表作も
ここからは、初心者におすすめの近代文学を紹介します。
志賀直哉、梶井基次郎、谷崎潤一郎、平野啓一郎など一度は耳にしたことのある作者の作品が中心です。
この機会に日本文学の名作をチェックしてみてください。
高野聖
泉鏡花の『高野聖』は、旅の途中の僧侶と出会った「私」が、僧侶の若い時に体験した恐ろしい怪談話を聞くというあらすじの短編小説です。
幻想小説の有名な作家である泉鏡花の豊富な語彙とリズム感ある独特な日本語文体が、不思議な世界観を作り出します。
泉鏡花に興味のある初心者や、幻想的な雰囲気の近代小説が読みたい人におすすめです。
近代日本文学初心者におすすめ、泉鏡花の最高傑作の幻想怪奇小説
発売日 | 2013年6月21日 |
出版社 | KADOKAWA |
著者 | 泉鏡花 |
道草
夏目漱石の『道草』は、金を無心する養父にうんざりしつつ金を渡す夫とそんな夫にうんざりしている身重の妻を描いた近代文学の最高傑作です。
夏目漱石の自伝的小説として知られていて、金銭問題や妻のヒステリー症状、自身の神経衰弱など漱石の苦労がうかがえる作品です。
夏目漱石にあまり詳しくない近代文学初心者が手に取っても面白く感じるおすすめ作品です。
有名な作家である夏目漱石も人生に悩んでいたことが分かる日本文学名作
発売日 | 2018年10月24日 |
出版社 | KADOKAWA |
著者 | 夏目漱石 |
地獄変・偸盗
『地獄変・偸盗』は、芥川龍之介の短編を集めた作品です。
画師の良秀は、大殿様からの命令で地獄を描くことに。しかし良秀は自分が見たものしか描けないために悲劇が起こります。
短編集で読みやすいところが魅力的で、名作『藪の中』も収録されています。
近代文学に影響を与えた作家の最高傑作が読みたい初心者に、おすすめできる本です。
芥川龍之介の人生観や表現力が感じられるおすすめの短編集
発売日 | 1968年11月19日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 芥川龍之介 |
恩讐の彼方に・忠直卿行状記
『恩讐の彼方に・忠直卿行状記』には、菊池寛の名作短編が収録されています。
表題の『恩讐の彼方に』は、主人の愛人と関係を持ち、出奔することになった市九郎が自らの行いを悔やみ、青の洞門を開削しようとする様子が描かれています。
最高傑作といわれる『恩讐の彼方に』をはじめ、有名な作品が多く収録されている点が魅力的です。
読みやすい短編の近代文学を探している人におすすめできます。
主人公の生き様に感動する名作が収録されたおすすめの名作日本文学
発売日 | 1952年5月25日 |
出版社 | 岩波書店 |
著者 | 菊池寛 |
檸檬
梶井基次郎の『檸檬』は、購入した檸檬を書店に残して立ち去る『檸檬』など5編の短編が収録されています。
作中の檸檬で梶井基次郎は何を表現しているのか、考えさせられる点が魅力的です。
高校の教科書にも採用されていた梶井基次郎の『檸檬』をもう一度読み返したい人、長編が苦手な読書初心者におすすめです。
また『Kの昇天』はミステリー要素もあり面白く読めるでしょう。
最高傑作『檸檬』をはじめ梶井基次郎の世界観が楽しめる名作短編集
発売日 | 2011年4月15日 |
出版社 | 角川春樹事務所 |
著者 | 梶井基次郎 |
春琴抄
谷崎潤一郎の『春琴抄』は、幼くして視力を失った春琴と彼女に仕える奉公の佐助を描いた最高傑作です。
谷崎潤一郎は本作で改行や句点を極端に排除し、独特で流麗な文体を作り出しています。
谷崎潤一郎の作品の中でも何度も映像化されている名作で、あらすじも有名です。
近代文学初心者も読みやすいでしょう。
愛とは何かを考えさせられるおすすめの近代文学です。
谷崎潤一郎の独特の文体が楽しめる近代文学の最高傑作
発売日 | 2016年6月18日 |
出版社 | KADOKAWA |
著者 | 谷崎潤一郎 |
暗夜行路
志賀直哉の『暗夜行路』は、4部構成の長編近代文学です。
両親に愛された記憶のない小説家の主人公が、自分が祖父と母の間に生まれた子だと知り、苦しみながら生きていく様子が描かれています。
志賀直哉のシンプルな文体の中にも、美しい情景が観じられるところが、魅力的です。
志賀直哉を初めて読む初心者や、近代文学の最高傑作を読みたい人におすすめできます。
志賀直哉の見事な表現力が楽しめるおすすめの近代文学
発売日 | 1972年11月15日 |
出版社 | 講談社 |
著者 | 志賀直哉 |
女生徒
太宰治『女生徒』には、女性の語り口による名作短編14編が収録されています。
表題の『女生徒』はファンの女性から届いた日記を参考に、多感な時期の少女の一日を描いた物語。
川端康成からも高く評価された点も、この作品の魅力です。
男性作家が書いたとは思えないほど見事な女性の内面描写が味わえる、近代文学初心者におすすめの名作。
女性の心情が丁寧に描かれている、近代文学の最高傑作
発売日 | 2009年5月23日 |
出版社 | KADOKAWA |
著者 | 太宰治 |
雪国
川端康成の『雪国』は、雪の降り続く温泉街で芸者と運命的な出会いを果たした男の物語です。
読書初心者でも、有名な書き出し「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」は知っている人が多いでしょう。
川端康成が湯沢温泉を訪れたことがきっかけで誕生した作品で、実際に芸者のモデルとなった女性も存在しました。
有名な近代文学が読みたい人におすすめの川端康成の作品といえます。
世界中で愛されている日本の近代文学を代表する名作
発売日 | 2013年6月21日 |
出版社 | KADOKAWA |
著者 | 川端康成 |
金閣寺
『金閣寺』は、実際に起こった金閣寺の放火事件を題材に描かれた三島由紀夫の代表作です。
幼少期から金閣に憧れた「私」は、惨めな青春時代を送ります。
やがて金閣寺で修行僧として働くことになりますが、実際の金閣寺は想像より美しくなく…。
主人公が一人称で告白する文体で綴られていて、読みやすい点が魅力的です。
若者が苦悩する内容の小説が読みたい人におすすめです。
三島由紀夫の繊細な文体が味わえる近代日本文学の最高傑作
発売日 | 1960年9月19日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 三島由紀夫 |
死者の奢り・飼育
『死者の奢り・飼育』は、芥川賞を受賞した大江健三郎の短編を6編収録。
『死者の奢り』は、死体を処理するアルバイトをしている「僕」の様子が描かれ、生と死について考えます。
日本の近代文学を牽引した大江健三郎が学生時代に書いた作品という点が、魅力的といえるでしょう。
有名な作家の初期の名作を読みたい初心者におすすめです。
特殊なアルバイトをする主人公の揺れ動く感情が綴られた日本文学の名作
発売日 | 1959年9月29日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 大江健三郎 |
砂の女
安部公房の『砂の女』は、読売文学賞に選ばれた名作です。
海辺の村落を訪れた主人公は、村人に嵌められて女の住む砂穴に閉じ込められて、砂掻きの労働を強いられる物語。
主人公の変化する心情や、描き出される現代社会の不条理さに注目です。
海外からも評価の高い安部公房の最高傑作といえるでしょう。
安部公房の代表作が読みたい人や読み応えのある安部公房の長編を探している人におすすめです。
フランスで最優秀外国文学賞に選ばれた安部公房の最高傑作で日本文学の名作
発売日 | 1981年2月27日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 安部公房 |
輝ける闇
『輝ける闇』は、コピーライターやジャーナリストとしても活躍した開高健の名作です。
本書は作者がベトナム戦争の取材で従軍した際に、戦闘に巻き込まれた体験を元に描かれた物語です。
新聞記者である「私」はアメリカ軍に従事し、一度は安全な街に戻るものの、再度激戦に赴きます。
リアリティのある生々しい戦争描写に引き込まれる作品。
戦争について考えさせられる近代文学を探している人におすすめです。
ベトナム戦争を体験しているようなリアルさが感じられる名作
発売日 | 1982年10月25日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 開高健 |
限りなく透明に近いブルー
『限りなく透明に近いブルー』は、村上龍のデビュー作品です。
米軍基地の町、福生のとあるアパートで無気力に生きる主人公が、仲間と共に自堕落な生活を送るというあらすじ。
日本の近代文学に衝撃を与えた斬新な文章表現が随所にみられる点が魅力的といえるでしょう。
青春小説を読みたい近代文学初心者や、村上龍に興味のある人におすすめできます。
村上龍の高い文章力で表現された退廃的な世界が味わえる近代文学
発売日 | 1976年7月9日 |
出版社 | 講談社 |
著者 | 村上龍 |
日蝕・一月物語
平野啓一郎の『日蝕・一月物語』は、2編の名作を収録した作品です。
『一月物語』は明治時代の奈良県のとある村で、蛇から逃げていた主人公が運命の女性に出会う様子が綴られています。
平野啓一郎から泉鏡花の影響が随所にみられる点が魅力的です。
平野啓一郎の難解な文体は読み応えがあり、近代文学をしっかり読みたい人や上級者におすすめできます。
芥川賞受賞作を含む、平野啓一郎の初期作品が2編楽しめるおすすめの作品
発売日 | 1999年4月15日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 平野啓一郎 |
まとめ
今回は、日本近代文学とは何かについてや、おすすめの近代文学を中心に紹介しました。
夏目漱石や安部公房、平野啓一郎、志賀直哉、梶井基次郎、谷崎潤一郎など有名な作家の作品は、色あせぬ感動を届けてくれます。
名作作品を読んで、日本の近代文学に思いをはせてみましょう。
近代文学や著名作家の代表作が気になっている人は、この機会にぜひチェックしてみてください。
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