『ドライブマイカー』を考察! ラストの意味や最終解釈についても詳しく解説

映画『ドライブ・マイ・カー』は、村上春樹の短編小説を原作にした作品です。
原作との違いや独自の解釈を含んだ映画ながら、その圧倒的な演出と物語の深みが多くの観客を魅了しました。
しかしラストの意味、最終解釈が分からない、メタファーが多くて意味が分からないという声も。
本記事では、『ドライブ・マイ・カー』のあらすじや原作との違い、そしてラストシーンの傷の意味や結末に迫りながら、作品の魅力について考察していきます。

村上春樹小説が原作! 『ドライブマイカー』について

映画『ドライブ・マイ・カー』は、村上春樹氏の短編小説「女のいない男たち」が原作です。
濱口竜介監督によって手掛けられた『ドライブ・マイ・カー』は、2021年のカンヌ国際映画祭で日本映画としては史上初となる脚本賞を受賞しました。
西島秀俊さん、三浦透子さん、岡田将生さん、霧島れいかさんらが出演しています。

西島秀俊主演『ドライブマイカー』のあらすじ

ここからは『ドライブ・マイ・カー』のあらすじを紹介。
妻が秘密を残して突然亡くなった舞台俳優兼演出家の家福。
2年後、彼は広島の演劇祭の演出をするために訪れ、寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。
みさきとの時間を通じて、家福は過去の傷に向き合うことに。
喪失感と打ち明けられることのなかった秘密に苛まれながらも、お互いの過去を明かし合うなかで家福は新たな気づきを得ていきます。
最愛の妻を失った男が葛藤の果てに辿り着く先とは。
人を愛する痛みと尊さ、生きることの苦しさと美しさが織り成す物語です。
難しいと言われる『ドライブ・マイ・カー』のあらすじを知ることで、物語の基本的な枠組みや背景を把握しておきましょう。

『ドライブマイカー』の魅力

多言語の舞台劇『ワーニャ伯父さん』との関連性を通じて、「崩壊」と「回復」という主題を描き出しています。
劇中劇が絡み合い、物語は崩壊と回復のプロセスを辿っていきます。
物語の核心にある「何かが終わってしまった後、私たちはどう生きるか、何を希望としうるか」という問いは、日常の喪失を経験している人々にとって切実なもの。
崩壊と回復の物語を通じて、難しいけど考えさせられるメッセージを届けています。

『ドライブマイカー』は意味が分からない・退屈という声も

『ドライブマイカー』は意味が分からない・退屈という評価もあります。
比較的淡々と話が進むことや、比喩的表現が多くすぐに意味が分からないこと、ラストの意味がはっきりしないという点でネガティブな感想を抱いてしまう人も多いでしょう。
以下で、意味が分からないと感じやすいところを解説します。

【最終解釈】『ドライブマイカー』は難しい? 解釈やラストの意味を考察解説

難しいと言われる『ドライブ・マイ・カー』ですが、最終解釈や結末、ラストの意味を考察してみます。
みさきはなぜ韓国にいたのか気になるポイントや意味を考察していくので、難しいと感じている人は参考にしてください。

なぜ家福はワーニャ叔父さんを演じられなかったのか?

家福がワーニャ叔父さんを演じられなかった理由は、彼自身の傷とワーニャの傷が重なってしまったためです。
家福は妻の突然の死により喪失感に苦しんでいて、その心の傷が深く残っています。
自身の傷と重なってしまい、心理的に耐え難いものだったと考察できます。
映画では、小説ではタイトルしか登場しなかった「ワーニャ叔父さん」が稽古を通じてほぼ最初から最後まで観られるのも、家福とワーニャが連動しているからでしょう。

家福が高槻と飲みに行った理由とは?

家福は、なぜ音が他の男と寝ていたのか、高槻との会話を通じて答えを見つけようとしました。
飲みに行った理由は小説に書かれています。
2人が関わるきっかけとしては、家福が高槻をワーニャ役に指名したことが挙げられます。
最終解釈として家福は高槻にワーニャのような絶望感を感じてもらうために、彼を選んだという可能性もあるでしょう。

音の不倫・寝物語は何を表している?

寝物語の主人公の女子高生が「空き巣」という悪い行為をやめられない描写は、彼女の欲望や誘惑に対する強い衝動を表しています。
この行動は、彼女にとっては病的な状態であり、欲望を解消するための自己慰めのようなもの。
このことから、音も同じようにいけないとわかっていても不倫をやめられない「病」であることを表していると考察できます。
音の不倫は病によるものであって、そこに愛はなく、欲望を解消する自慰のようなものだったのでしょう。

なぜ北海道の赤平へ?

高槻が逮捕され、舞台を中止するか、ワーニャ役を家福が演じるかの二者択一に。
ワーニャを演じる自信のない家福はみさきにお願いし、北海道の赤平へ。
みさきは自分が母を殺したと罪の意識を持ち、家福はみさきの故郷が見たいと言います。
北海道の赤平で家福は傷つくことから逃げていたと気付き、辛くても生きていかなければならないと2人は抱き合います。
このことから、人生と向き合うため北海道の赤平に向かったと解釈できます。

なぜ韓国でみさきは犬と一緒に赤い車に乗っている?

ラストシーンがなぜ韓国で犬と赤い車に乗っていたかについては、家福の赤いサーブ900を譲り受けたと考察できます。
最終解釈として、家福は妻との思い出が詰まった車を手放したのかもしれません。
犬については、韓国人のユンス・ユナの犬そっくりの大型犬なので、みさきがユナの犬の世話をしていると解釈できます。
なぜ韓国にいたのか理由は明言はされていませんが、みさきは新しい土地で人生の一歩を踏み出したという結末、ラストの意味が考えられます。

ラストシーンの傷の意味とは?

みさきはなぜ韓国にいたのでしょうか。
過去の戒めのために治さなかった頬の傷を、治療費の安い韓国で治療するために韓国に渡ったと考察できます。
ラストシーンで顔の傷が消えているということは、みさきの過去の傷も薄くなったと最終解釈するのが正しいでしょう。

棒読み演技の意味

濱口監督が指導した棒読み演技の意味は、自然でありながらも感情表現に目がいかないような表現を追求することだったと考察できます。
棒読み演技を通じて俳優の内面や無意識の部分を引き出し、真摯な表現を追求したかったのではないでしょうか。
俳優がセリフに素直に従い、相手のリアクションに自然に反応することで、作品全体が人間らしさを持つことができると考えたのかもしれません。

劇中劇との構造の妙

家福の演技理論は、役者が登場人物の気持ちを考える必要はないというもの。
家福は感情をいれることで、ストーリー全体の意味が変わると考えます。
でも、家福は過去に囚われて人生を見れていなかったのです。
終盤、北海道で家福がみさきの前で泣くのは自身の演技理論を壊したというラストの意味に解釈できます。

【原作との違い】原作では広島に行かない? ラストシーンは?

原作との違いについて、映画では広島が舞台になっていますが、小説では東京が舞台です。
また、娘の死因や妻の死のタイミング、登場人物の描写、サープの色や専属のドライバーが付くことになった経緯など、映画と原作との違いはいくつかあります。
難しいと言われるラストシーンも小説では描かれていない結末で、原作との違いがあります。
『ドライブ・マイ・カー』の原作となった小説を読んだことがある人も新たな視点で見られる作品です。

『ドライブマイカー』を楽しもう

amazonプライムでも見れる映画『ドライブ・マイ・カー』と、原作『女のいない男たち』のあらすじを紹介します。
映画は原作との違いがあるのでぜひ比べてみてください。

amazonプライムでも観れる! 『ドライブマイカー』

公開日	2021年8月20日
監督	濱口竜介
出演	西島秀俊、三浦透子、霧島れいか

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小説『女のいない男たち』

発売日	2016年10月07日
出版社	‎文藝春秋
著者	村上春樹

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まとめ

『ドライブ・マイ・カー』のあらすじや原作との違い、そしてラストシーンの意味や傷についての最終解釈を考察しました。
難しい、意味が分からないと言われることもありますが、解釈や考察は個人の自由です。
物語の難しさに関わらず、解釈や考察解説を含めて楽しむことができます。
特に物語の結末であるラストの意味は見逃せない見どころであり、結末には意味が込められています。
ぜひ一度Amazonプライムでご覧ください。

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