おすすめの伝奇小説13選 伝奇小説とは何かや名作を紹介
KEYWORD
奇想やファンタジー要素がふんだんに盛り込まれた伝奇小説。
古今東西の著者たちはその豊かな想像力と文化的背景から、数々の素晴らしい作品を生み出してきました。
この記事では、日本・海外の伝奇小説の中から特におすすめの名作伝奇小説を紹介します。
伝奇小説ファンや新たなジャンルに挑戦したい人は、ぜひ参考にしてくださいね。
伝奇小説とはどんな小説?
伝奇小説とは、不思議で珍しい題材を扱った小説のジャンルです。
古くは中国・唐宋時代の神仙や怪を描いた短編小説を指していましたが、現代ではより広範囲の作品に対して、その名がついています。
また伝奇小説は時代小説やSF小説、歴史ミステリ、ホラーミステリーなどの中小ジャンルとして捉えられることもあります。
【アンケート調査】面白い伝奇小説は?
ブックスコレクション編集部は伝奇小説が好きな人にアンケートを実施し、面白かった作品をうかがいました。
調査の結果、1位は『ダ・ヴィンチ・コード』(ダン・ブラウン著)、2位は『陰陽師』(夢枕獏著)、3位には『Another』(綾辻行人著)がランクイン。
続いて、その作品が好きな理由や作品の魅力もアンケートを取りました。
得票数の多かったトップ3の作品について、回答の一部を抜粋して紹介します。
作品名 | 好きな理由や魅力 |
---|---|
『ダ・ヴィンチ・コード』 | 「オカルト好きにはたまらない作品。キリスト関係にはいろいろな説があるが、緻密で論理的、エンターテイメントな内容が充実していた」 |
「話が壮大。歴史的背景の描かれ方が美しい」 | |
「もともと興味のあったルーブル美術館やパリの街並みが細かく書かれていて、まるで旅行記を読んでいるような気に」 | |
「物語の展開が早く、予測不可能な内容で最後まで飽きない」 | |
『陰陽師』 | 「短編集になっており、清明と博雅の軽妙な会話のテンポもよく、読みやすい作りになっている」 |
「古代の日本の歴史が独特な描き方で物語が展開していく所が面白い」 | |
「ほぼ1話完結型で読みやすい。安倍晴明が呪いや式神で都の怪異に立ち向かう。推理モノもたまにある」 | |
『Another』 | 「和風要素の中に気味の悪さがあることで不思議な良さがあったから」 |
「展開がよめなくてハラハラしながら読み進められるので」 |
・調査対象:伝奇小説好きの63人
・調査期間:2023年10月
・調査方法:インターネットによる対象者へのアンケート
・調査機関:ブックスコレクション編集部
伝奇小説おすすめ9選【日本の著者】
ここからは、日本の歴史や慣習を基にした伝奇ものを紹介します。
小野不由美さんなどホラー作家の名作や大賞受賞作品も登場するので、伝奇小説に少しでも興味がある人は必見です。
Another
『Another』はアニメ化もされている本格ホラー小説です。
転校生の榊原恒一はクラスで不気味な存在感を放つミサキ・メイに心を惹かれ、彼女の正体を探ります。
そんな中、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げてしまいます。
この「世界」では何が起きているのか?
恐怖と謎が織り成すストーリーは最後まで、読者をゾクゾクさせてくれます。
綾辻行人さんの代表作となった一冊で、緊迫感と驚きに満ちた展開がポイントですよ。
最後まで読めない展開に、ページをめくる手が止まらなくなる伝奇ホラー
発売日 | 2009年10月29日 |
出版社 | KADOKAWA |
著者 | 綾辻行人 |
ぼぎわんが、来る
『ぼぎわんが、来る』は、日本ホラー小説大賞を受賞したことで話題を集めた伝奇もの。
主人公・秀樹が「ぼぎわん」という化け物から家族を守るために奮闘するといったストーリーです。
この作品は登場人物の心理描写や関係性の緻密さも魅力的で、彼らが恐怖に立ち向かっていく姿には感情移入すること間違いなし。
ホラー好きやスリリングな物語を楽しみたい人におすすめの作品です。
得体の知らない恐怖を描いた、ぬるっとした質感がたまらない伝奇ホラー
発売日 | 2018年2月24日 |
出版社 | KADOKAWA |
著者 | 澤村伊智 |
柳生忍法帖
『柳生忍法帖』とは忍法対幻法を使った戦いを描いた伝奇ものです。
暗君を見限った一族は、一族郎党惨殺といったひどい仕打ちを受けることに。
その中唯一生き残った女性7人は、仇討ちすべく敵に命がけの復讐を仕掛けていきます。
物語は忍法と幻法の対決が展開され、スリリングで魅力的なバトルシーンが魅力です。
忍術や戦いに興味がある人や、日本の歴史に興味がある人におすすめです。
忍術を使ったバトルシーンが刺激的な、架空の歴史を題材にした伝奇ホラー
発売日 | 2003年3月25日 |
出版社 | KADOKAWA |
著者 | 山田風太郎 |
吉原御免状
宮本武蔵の弟子、松永誠一郎は師匠の遺言を守るため江戸・吉原に出発。
しかし彼が吉原に着くと、裏柳生の忍びたちによる殺意に包まれます。
彼らの狙いは「神君御免状」と呼ばれるものですが、その真相とは一体何なのでしょうか。
さらに、なぜ武蔵は彼を吉原に送ったのでしょうか。
この小説は、吉原の成立の秘話や徳川家康影武者説を交えながら展開されます。
時代劇好きな人には、刺さること間違いなしの傑作ですよ。
宮本武蔵や時代劇ファンに刺さること間違いなしの伝奇小説
発売日 | 1989年9月25日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 隆慶一郎 |
黒祠の島
『黒祠の島』は外部に閉ざされた島で起きるミステリアスな事件を追う物語。
主人公は失踪した作家を捜索し、この島にたどり着きます。
しかし住民によって調査は妨害され、進展をなかなか得ることがきません。
作中で登場する廃屋や神域で見つかる惨事の名残は、読者を引き込む緊張感を演出します。
そして主人公は最後驚愕の真実を知ることに。
この小説は、ミステリーとサスペンスが好きな読者におすすめです。
閉鎖的な島で巻き起こる、土着とミステリーの要素を絡めた伝奇ホラー
発売日 | 2007年7月1日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 小野不由美 |
陰陽師
こちらは平安時代の京都を舞台に、不思議な事件を解決する陰陽師・安倍晴明の活躍を描いた作品。
物語は陰陽道や日本の神話などの要素を取り入れながら、人間と妖怪の関係や陰陽師の世界を独自の視点で描き出しています。
また時代背景に根ざした、風景描写やキャラクターも見どころの一つです。
日本の神秘的な世界観に興味がある人におすすめの伝奇小説ですよ。
平安時代の京都を舞台に、陰陽師の世界を独自の視点で描いた伝奇ホラー
発売日 | 1991年2月9日 |
出版社 | 文藝春秋 |
著者 | 夢枕獏 |
ホラー作家八街七瀬の、伝奇小説事件簿
『ホラー作家八街七瀬の、伝奇小説事件簿』は、ホラー作家と彼女の編集者の2人の周りで起きる不思議を描いた物語。
ある日、ホラー作家あてに節分祭に関する不思議な体験談がファンレターで届き、二人は現地取材に行きます。
しかし、集落の住人たちは彼らに強い警戒心を抱き、秘密が隠された「姿を見てはいけない神様」という存在について明かされていきます。
物語は恐怖と謎解きの展開を追いながら、読者を引き込んでいくでしょう。
集落に伝わる恐ろしい言い伝えの真相をめぐる、伝奇もの小説
発売日 | 2021年6月18日 |
出版社 | 集英社 |
著者 | 竹林七草 |
ものがたりの賊
『ものがたりの賊』は1923年の大震災後の混乱と不安が渦巻く東京を舞台に、日本文学の名キャラクターたちが結集して首都を救う物語です。
竹取の翁、光源氏、坊っちゃんなど、個々の物語世界から飛び出したキャラクターたちが一致団結し、怒涛の展開が繰り広げられます。
この作品の見どころは、異なる作品から出てきたキャラクター同士がぶつかりながら協力し合う姿です。
日本文学の知識があると一層面白く読める一冊ですよ。
日本文学の名キャラクターたちのぶつかりあう、ユーモアたっぷりな伝奇もの
発売日 | 2021年11月8日 |
出版社 | 文藝春秋 |
著者 | 真藤順丈 |
東亰異聞
『東亰異聞』は幻想的な雰囲気とミステリアスなストーリーが魅力の伝奇小説。
帝都・東亰を舞台に、火炎魔人や闇御前といった怪奇な存在が跋扈する異世界が描かれます。
新聞記者の平河が事件の調査を続ける中で、鷹司公爵家のお家騒動に巻き込まれていきます。
作品は人の心の闇を繊細に描き出し、官能的な美しさが漂います。
ミステリーとファンタジーの融合が楽しめる作品です。
数々の名作ホラーを生み出してきた、小野不由美さんの伝奇もの
発売日 | 1999年5月1日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 小野不由美 |
伝奇小説おすすめ4選【海外の著者】
ここでは海外の著者が執筆した伝奇小説を紹介します。
ベストセラーや不朽の名作と呼ばれる古典を集めたので、伝奇もの初心者の人もぜひ一度読んでみてくださいね。
ダ・ヴィンチ・コード
『ダ・ヴィンチ・コード』は、サスペンスと謎解きが絶妙に絡み合ったスリリングな小説です。
事件はルーヴル美術館の館長が、謎の死を遂げることから始まります。
ハーヴァード大学教授ラングドンと館長の親戚が協力して暗号や謎を解き明かしていく様子が見どころです。
またダ・ヴィンチの秘密やキリスト教の陰謀など、歴史と宗教に関する興味深いトピックも織り交ぜられています。
謎解きが好きな人や歴史に興味がある人に特におすすめです。
あの名画の裏に隠された真実に世界中が震撼した、伝奇ホラーの名作
発売日 | 2006年3月10日 |
出版社 | KADOKAWA |
著者 | ダン・ブラウン |
薔薇の名前
『薔薇の名前』は、記号論学者でもある著者が自身の知識を基に書き上げた伝奇もの。
14世紀のイタリアを舞台に、閉ざされた修道院で起こる連続殺人事件を、一人の修道士が解決していく物語です。
歴史小説としての魅力やキリスト教の分裂状況、教皇と皇帝の対立など、重層的な要素も含まれています。
映画化もされた名作で、幅広い層におすすめです。
ミステリー作品として世界的に評価の高い、ベストセラー伝奇小説
発売日 | 1990年1月25日 |
出版社 | 東京創元社 |
著者 | ウンベルト・エーコ |
伝奇集
『伝奇集』は、夢と現実の境界線が曖昧な「迷宮」の世界を描いた現代文学の傑作です。
この小説は東西の神話や哲学を織り交ぜた精巧な短編集であり、魅惑的な物語が展開されます。
円環の廃墟やバベルの図書館など、宇宙の隠喩や奇想的なアイデアが豊富で、現代文学の最先端とも評されてきました。
複雑なテーマや思索を楽しみたい人におすすめの一冊です。
古今東西の神話や哲学から着想を得た、奇想天外な物語の宝庫
発売日 | 1993年11月16日 |
出版社 | 岩波書店 |
著者 | J.L.ボルヘス |
怪談
『怪談』は日本の現代怪談の源流ともいえる傑作。
『耳なし芳一の話』、『ろくろ首』、『雪女』など、日本人なら聞き馴染みのある怪談が揃っています。
また著者の流麗な文章も魅力で、思わず音読して読みたくなるでしょう。
この作品は日本の古典として称えられていて、日本文学への興味を持つ人々に特におすすめです。
また怖い話やオカルトに興味がある人にもおすすめです。
怪談や妖怪に興味がある人に登竜門としておすすめの、伝奇小説の名作
発売日 | 2018年7月11日 |
出版社 | 光文社 |
著者 | ラフカディオ・ハーン |
まとめ
今回は日本と海外の伝奇小説の名作を紹介しましたが、いかかがでしたか。
伝奇小説とは不思議な物事を扱った小説全般を指しますが、歴史や宗教、風習などそのベースに置かれているテーマは様々です。
またホラー要素が強い伝奇ホラーものもあれば、楽しく読み進められる作品もあるので、自分の好みにあわせて選んでみてくださいね。
※書籍等の発売日は、紹介商品の版元から発売された日を掲載しています。
※各商品の説明文は各ECサイトを参考に作成しています。
※商品は掲載時点の情報を参考にしています。最新の情報は各ECサイトをご参照ください。