『うさぎドロップ』はラストが気持ち悪い? 理由やその後についても解説
累計発行部数200万部を突破し、アニメ化や実写映画化もされた漫画『うさぎドロップ』。
心温まるアットホームな作品ですが、その結末は賛否両論で、中にはラストが「気持ち悪い」という声も。
そこで、今回は『うさぎドロップ』のラストを振り返り、見る人によって感想が分かれる理由を探っていきます。
結末が気持ち悪いと思っている人も、読み終わった後は、今よりもすっきりした気持ちになっているでしょう。
この記事は『うさぎドロップ』のネタバレを含みます。
作品の結末に関するヒントを知りたくない人は注意してください。
『うさぎドロップ』のあらすじ
『うさぎドロップ』といえば、アニメや映画にもなった、ハートウォーミングなストーリーが特徴です。
しかし、それは漫画の前半部分にすぎず、物語にはその後があります。
さっそく、あらすじを振り返ってみましょう。
育児漫画として始まる
衣料品メーカーに勤める30歳のダイキチは、祖父の葬儀で、 ”りん” という名の幼い少女に出会います。
ダイキチは、自らの意思でりんを引き取りますが、子育ては想像以上に大変なものでした。
自身の生活を変えることも不可欠で、ダイキチは部署異動を決意します。
職場の人たちや同じ保育園に通うコウキの母・ゆかりの助けも借りながら、りんとダイキチは日々成長し、家族の絆を深めていきます。
結末に向かい2人の関係に変化が
いきなり二人暮らしをすることになったりんとダイキチ。
物静かだったりんが徐々にのびのびと過ごすようになり、家族として絆を深めていく姿が印象的です。
しかし、りんが高校生になると、結末に向かい2人の関係に変化が生まれていきます。
物語のラストは「気持ち悪い」と物議をかもすことも。
ここからはネタバレありで結末を解説していくので、ネタバレが苦手な人は注意してください。
【ネタバレ】『うさぎドロップ』のラスト回は?
ここからは、『うさぎドロップ』の最終回への流れを紹介します。
最終回に向けてりんとダイキチの関係はどのように変わっていくのでしょうか。
話題のラストに注目です。
カズミの妊娠
ダイキチの姉・カズミに子供が誕生。
子供が苦手だったカズミですが、りんと出会ったことにより、心境に変化が。
りんもまた、カズミの妊娠をきっかけに、結婚や子供について考え始めます。
隣にいたいのは誰か想像していくうちに、りんは、ダイキチへの恋心に気づくのです。
りんの恋心
ダイキチへの恋心がどんどん大きくなっていき、りんはついにダイキチに告白します。
しかし、ダイキチは、「それは、俺にとって一番残酷なことだ」と返答。
りんのことを本当の娘のように大切に思うダイキチにとってのしあわせは、りんが立派に成長することでした。
賢いりんにその思いを理解してもらえると思ったダイキチは、りんに、自分たちが結婚することは間違っていると伝えます。
りんの出生に隠された真実
祖父の娘であるりんは、ダイキチにとって「叔母」にあたります。
しかし、最終回に向けて、りんと祖父に血縁関係がないことが明かされます。
つまり、ダイキチとりんの間にも血のつながりはありません。
ダイキチは、祖父の遺書からその事実を知っていました。
しかし、当時、りんにとっての家族は祖父のみであったため、りんを悲しませないようにとダイキチはその事実を隠してきたのです。
ダイキチがりんに突き出した条件とは?
ダイキチのやさしさに触れたりんは、ダイキチと血のつながりがないことへの安堵と嬉しさから、「わたし、ダイキチのこと好きでもいいんだね」と発言。
しかし、ダイキチは「いや、」と口ごもります。
りんを拒絶することのできないダイキチは、「りんが高校を卒業するまで時間がほしい」「その間に他に好きな人ができたら、自分のことは忘れろ」という条件を出します。
2人の結婚
2年後、無事に高校を卒業したりんに、ダイキチは、自分の想いを告白します。
ダイキチにとってりんは、娘同然で二人の間には親子の絆がありました。
しかし最後にはある決断をしたのです。
ダイキチは、りんに向き合い、今までりんを大切に思ってきたこと、りんは高嶺の花であることを伝えた上で、「結婚しよっか…」と切り出します。
大喜びのりんにダイキチは、「いずれ」と付け加え、大学を卒業したらという条件付きで、結婚の約束をしたのでした。
【ネタバレ】りんとダイキチのその後は?
全10巻の『うさぎドロップ』のうち最終巻では、りんとダイキチのその後が描かれています。
第10巻は全6話のエピソードが詰まっています。
りんの幼少期のエピソードやコウキに焦点を当てた話、親子関係から夫婦関係へ変化したりんとダイキチのその後など、前半とは別の角度で物語が楽しめます。
りんとダイキチのその後は、最後のエピソードに収録。
夫婦となり、さらに絆を深めた二人はハッピーエンドへと向かっていきます。
【ネタバレ】『うさぎドロップ』の結末は賛否両論
「叔母と甥」から「娘と父」「恋人」「夫婦」に変わっていたりんとダイキチ。
しかし、結末を受け入れられないファンからは気持ち悪いなど、厳しい意見も上がりました。
ここでは、実際にあった意見を紹介します。
ラスト反対派の意見
以下は、実際に漫画を読んだ人の意見です。
・どこで恋愛関係になったのかわからない
・複雑な気持ちになる
・義理とはいえ、育て親と結婚するのはあり得ない
このように、親子の絆のイメージが強い作品だからこそ、その結末に対する失望は大きかったことがわかります。
後半での急な展開を不自然に感じた人も多いようです。
ラスト賛成派の意見
一方、ラスト賛成派には次のような意見があります。
・親子の絆を超えた、2人の愛に感動した
・りんの心理描写が良い
賛成派では、夫婦となった二人の関係を、「親子の絆を超えた愛」と前向きに捉える声がありました。
反対派に多かった恋愛感情の違和感は “りんの成長” と考えることで、解決をしているようです。
【アンケート調査】『うさぎドロップ』の結末は納得した?
ブックスコレクション編集部は『うさぎドロップ』を最後まで読んだことがある人にアンケートを実施。
『うさぎドロップ』の結末に納得したかをうかがいました。
調査では、「はい」と答えた人が約52%、「いいえ」と答えた人が約47%と拮抗する結果に。
続いて、「はい」と答えた人、「いいえ」と答えた人に理由をうかがいました。
回答の一部を抜粋して紹介します。
結末に納得したかどうか | 理由 |
---|---|
「はい」(結末に納得) | 「大吉のキャラで気持ち悪くは感じなかった」 |
「ずっとお互いに支え想い合って生きてきた二人だから、恋愛に結び付くのも自然な流れ」 | |
「6歳から18歳と12年の期間を一緒に過ごす様子が主軸の物語で、りんの複雑な家庭、幼少期を丁寧に描いていたため、結婚という最終結末は戸惑いはあれど受け入れられた」 | |
「りんは成長して、自分を大切にしてくれる人や自分が求めてるものを知って大吉を好きになったと思った。大吉は、りんのひたむきさや愛情の深さを感じて少しずつ恋愛感情へ変わっていったと考えた」 | |
「いいえ」(結末に納得しない) | 「家族愛の物語だと思って読んでいたのに、前振りも少なく大吉とりんがくっついたのでもやっとしました」 |
「子育てをしてきてその子どもが恋愛の対象になる事が理解できなかった。」 | |
「自分の子どもとして引き取り育て成長を見守ってきた存在に恋愛感情を抱くということが全く理解できない」 | |
「血が繋がってないとはいえ、親子として過ごしてきたのに恋愛関係になるのは残念」 |
・調査対象:『うさぎドロップ』を最後まで読んだ44人
・調査期間:2023年8月
・調査方法:インターネットによる対象者へのアンケート
・調査機関:ブックスコレクション編集部
【ネタバレ】ラストが気持ち悪いと言われる理由を徹底考察
ここからは、反対派にあった意見を元に、ラストが気持ち悪いと言われる理由を考えていきます。
ラストに感じる違和感とは一体なんなのでしょうか。
ラスト反対派の人も、モヤモヤを一緒に解消しましょう。
『うさぎドロップ』が気持ち悪いと言われる理由1:近親相姦に触れるラスト
結末が気持ち悪いと言われる要因のひとつは、二人の関係が近親相姦を感じさせるためです。
物語後半で、りんとダイキチの間に血縁関係がないことが明らかになったものの、二人の関係はすでに親子関係と言えます。
また、血縁関係に関わらず、ダイキチを育ての親と捉える声も多いです。
物語前半で、すでに二人の親子関係が成立していたからこそ、そこから恋愛関係に発展させたのには、少し無理があったと感じてしまうのでしょう。
『うさぎドロップ』が気持ち悪いと言われる理由2:親子愛から恋愛へのシフトが理解不能
前半の物語の魅力は、 “子育ての大変さ” や ”家族の絆” であり、ダイキチに共感したりその後の親子関係に期待したりして、物語を楽しんでいた読者が多かったと思われます。
しかし、漫画の後半ではりんの複雑な感情が描かれました。
りんがダイキチに対して家族としての愛情に加えて、恋愛感情を抱く最後に。
その予想外の展開は、読者を置いてきぼりにしてしまい、ラスト反対派を生み出しました。
『うさぎドロップ』が気持ち悪いと言われる理由3:読者の若い女性の層が合わない
『うさぎドロップ』はもともと、『FEEL YOUNG』という20代女性をターゲットとした漫画雑誌に掲載されていました。
そのため、近親相姦や24歳差の年の差婚を要素にした漫画が気持ち悪いと言われるのも致し方ない部分があります。
物語の前半と後半では、テーマが異なっているため、ファン層も異なって当然です。
読者の多くは、子育てやホームドラマ要素を期待していたために、期待とのギャップが生まれ、ラスト反対の声につながったのでしょう。
『うさぎドロップ』の漫画とアニメを紹介
最後に、原作漫画とアニメを紹介します。
賛否両論の声がありますが、それだけストーリー展開がおもしろく、深みのある作品です。
今回、作品が気になった人は、ぜひ自分の目で結末を確かめてみてくださいね。
うさぎドロップ (1-10巻 全巻) 全巻セット
30歳独身のダイキチは、祖父の葬儀で6歳の少女・りんと出会う。
彼女の正体はなんと、祖父の隠し子でした。
りんを引き取ることを決意したダイキチですが、想像以上に大変な子育てに身をすり減らしていきます。
周りの人たちの助けを借りながらも、ダイキチはりんと暮らすために奮闘。
やさしいタッチのイラストや心あたたまるストーリーが魅力の作品。
子育てをする人の共感を呼ぶ、感動作です。
家族愛や親子の絆に癒される話題のコミック。物議をかもすラストに注目。
発売日 | 2006年5月19日 |
出版社 | 祥伝社 |
著者 | 宇仁田ゆみ |
うさぎドロップ 初回限定生産版 第1巻
アニメの第一話と第二話が収録された限定版。
ダイキチとりんが出会ってから一緒に生活するまでの物語が収録されています。
30歳独身のダイキチは祖父の葬儀で、りんという少女と出会います。
りんが祖父の隠し子であると知り驚くダイキチですが、親戚の前で、自らりんを引き取ると宣言。
祖父の思い出を大切にするりんの健気な姿には涙があふれます。
見終わった後は、家族とは何か考えさせられるでしょう。
物語の肝が詰まった、オリジナルストーリー付きの初回限定版。
放送開始日 | 2011年7月7日 |
監督 | 亀井幹太 |
出演 | 土田大、松浦愛弓 |
まとめ
『うさぎドロップ』の結末をネタバレも含めて紹介しました。
気持ち悪いと言われている理由は、近親相姦に近いりんとダイキチの関係、物語の唐突な展開、読者層のズレにあります。
一方、作品を評価する声も多く、結末の捉え方は人それぞれ。
話題になる作品ほど期待値も高いため、感想の賛否が分かれることはよくあります。
ぜひ自分なりに、最終回とその後を考察してみてくださいね。
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