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映画『万引き家族』を徹底考察 あらすじからリアルな描写まで解説

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出典:Pixabay

※本ページにはプロモーションが含まれています

カンヌ映画祭で最高賞のパルムドールを受賞したことで、話題を集めた『万引き家族』。
日本の今をリアルに描いた作品で世界的に高い評価を集めましたが、一部では気持ち悪い、気まずいという評価もありました。
この記事では、『万引き家族』がどんな話だったのかあらすじを辿り、最後のシーンなどのネタバレ考察を行いました。
それを踏まえ、なぜ『万引き家族』を気持ち悪い、気まずいと感じる人がいるのかも解説します。

この記事は『万引き家族』のネタバレを含みます。
作品の結末に関するヒントを知りたくない人は注意してください。

目次

【ネタバレ】『万引き家族』のあらすじ

『万引き家族』はどんな話だったのでしょうか。
ここではネタバレ込みで、作品のあらすじを解説しています。

貧しいけど、支え合いながら生きる柴田家

東京の下町で暮らす柴田家は、父と母、息子、母の妹、祖母で暮らす5人家族。
両親の収入と祖母の年金を足しても生活は貧しく、家族ぐるみで万引きを常習していました。
また表向きは祖母の初枝が一人暮らししていて、市の職員にばれないよう一家はひっそりと暮らしています。
それでも、5人はお互い支えながら幸せに暮らしていました。

5人家族から6人家族に

とある日、万引き帰りの治と祥太は、団地で寒さに凍える少女を発見します。
治は少女を保護し名前を尋ねると、ゆりと名乗りました。
治はゆりを両親のもとに連れて行こうとしますが、ドアの向こうからは男女が言い争う声が聞こえます。
家に戻りゆりの身体を調べると傷があったことから虐待を疑い、柴田家でゆりを匿うことに。
こうしてゆりは柴田家の一員となり、「りん」という新しい名前を付けられます。

祥太の行動により、事件発覚

治と信代が同時に失業したことで、柴田家の家計はますます苦しくなっていました。
そんな中、初枝が老衰で死亡しますが、今後も初枝の年金を受け取り続けるため、治と信代は初枝の死を隠蔽します。
祥太はそんな二人の行動に違和感を覚えるようになり、万引きも悪いことなのではないかと考えるように。
そして、ある日祥太はわざと見つかるように万引きを行い、とうとう一家は警察に捕まってしまいます。

6人はそれぞれの道へ

ネタバレになりますが、捜査により、りんだけでなく柴田家の誰一人も血が繋がっていなかったことが発覚します。
治と信代はもともと不倫関係で、2人は共犯し信代の元夫を殺害していました。
さらに祥太は治に拉致された子で、初枝は身寄りのない孤独な老人、亜紀は元夫の孫でした。
そして最後、信代は懲役、治は執行猶予5年、祥太は福祉施設に入居することになります。

『万引き家族』の登場人物

どんな話だったのかあらすじに続き、『万引き家族』の登場人物を解説します。
考察する前に、登場人物の関係性を整理しましょう。

柴田家の父治を演じるのは、リリー・フランキーです。
是枝監督作品の常連で、出演の際、監督から「台本いりますか?」と聞かれたという裏話が残っています。

信代

柴田家の母、信代は、安藤サクラが演じました。
安藤サクラの迫真の演技は、カンヌ国際映画祭でも審査員から高く評価されたそうです。

祥太

柴田家の息子役を演じたのは、城桧吏。
オーディションで選ばれて、本作で初のメインキャストとして抜擢されました。
現在17歳(2024/7現在)で、これからの活躍に期待大です。

りん

柴田家の妹りん(ゆり/じゅり)は、子役の佐々木みゆが演じました。
オーディションで選ばれ、本作が初の映画出演作でした。
監督は後に、みゆちゃんの暗い表情に惹かれたと語っています。

初枝

柴田家の祖母、初枝を演じていたのは、樹木希林。
作中、初枝は老衰しますが、くしくも樹木希林自身も公開の3ヶ月後に癌のため他界しました。

亜紀

柴田家の一員で信代の妹役の亜紀を演じていたのは、松岡茉優。
気まずいラブシーンなど難しい役どころも、リアルに演じました。

『万引き家族』を気持ち悪いと思う人も

『万引き家族』視聴者からは、観ていて気持ち悪い、気まずいといった声も聞かれています。
なぜ本作が気持ち悪いと言われているのか、その理由をネタバレ込みで解説します。

犯罪を肯定しているようだから

治と信代は、万引き、拉致、殺人、年金の不正受給などあらゆる犯罪に手を染めてきました。
特に治の犯罪に対するハードルは非常に低く、リリーフランキーの熱演ぶりが治の気持ち悪さを一層引き立てています。
罪の意識を持たない登場人物たちの姿は、見る人によっては気持ち悪いと感じられるでしょう。
作品自体は犯罪を肯定したものではないですが、登場人物に感情移入しようとすると複雑な気持ちになるかもしれません。

生活や人物描写が生々しいから

『万引き家族』には、生々しい描写が多くありました。
例えば、父母のラブシーン、初枝が入れ歯を外して食べるシーン、りんの乳歯が抜けるシーンなどは生理的に受けつけないと感じる人も多いでしょう。
特に万引きの描写はリアルに描かれているため、自分が犯罪に加担しているような気分になり、気持ち悪いと感じる人も一定数いるようです。

家族ごっこみたいだから

ネタバレになりますが、柴田家は誰一人、血縁も法的な繋がりもありません。
言ってしまえば、りんだけでなく祥太や亜紀も、柴田家に拉致された子ども。
それにもかかわらず、治と信代、初枝は、まるで本当の家族のように振る舞っていました。
拉致した子を実の家族のように育て、貧困や犯罪に巻き込むというのは、見方によっては非常に気持ち悪いといえるでしょう。

『万引き家族』に気まずいシーンはある?

『万引き家族』は気まずいシーンが主に2か所あります。
一つは作品前半の、亜紀がJKリフレ店で接客するシーン。
このシーンでは亜紀演じる、松岡茉優がマジックミラー越しに、客に身体を露出しています。
さらに気まずいのは、柴田家の父母が全裸でイチャつくラブシーンです。
この場面については、リリーフランキーと安藤サクラが平成で一番気持ち悪いラブシーンを演じようと話し合って演じたそう。

『万引き家族』のラストをネタバレ考察

『万引き家族』のラストシーンをネタバレ考察します。
本作の最後では、りん、祥太、亜紀それぞれの成長や心境の変化が描かれていました。

りんが柵に乗り出すシーンの意味

ラストで、両親のもとに戻されたりんがベランダの柵から身を乗り出すシーンがありました。
視聴者の中には、このままりんが飛び降りて死んでしまうのではと、ひやひやした人も多いのではないでしょうか。
しかし監督は、このシーンはりんの成長を表現したかったと語っています。
りんは柴田家との触れ合いを通して外の世界を知ったことで、虐待から逃げ出す一歩を踏みだそうとしていたのです。

祥太は最後に何をつぶやいた?

ラストの祥太と治の別れのシーン。
バスに乗った祥太は、治に祥太と呼ばれても振り向きません。
しかし、しばらくすると祥太は治の方を振り返り、最後に何かをつぶやいていました。
このシーンの、祥太の口の動きをよく見ると、「お父ちゃん」と言っていたようでした。
ラスト、治に「お父ちゃん」の言葉は伝わっていたのでしょうか。

最後亜紀はなぜ実家ではなく、柴田家に戻ったのか?

ラスト、亜紀は事情聴取を通して、初枝と亜紀が同居していることが両親には伝わっていなかったことを知ります。
また初枝が自分には内緒で両親からお金をもらっていたことも知り、亜紀は初枝に不信感を抱くように。
それでも最後に亜紀が帰ったのは、実家ではなく柴田家でした。
娘が家出しても探そうともしない両親よりも、自分を受け入れてくれた柴田家のほうが、亜紀にとって帰りたいと思える場所だったのだと考察できます。

『万引き家族』が描いているものとは?

気まずい、気持ち悪いという評価もある『万引き家族』。
本作が、視聴者に伝えたいメッセージとは何なのでしょうか。
以上のあらすじや、解説を踏まえて、本作のテーマを考察してみました。

血の繋がりを越えた家族の絆

放置子や家出少女、身寄りのない老人など、柴田家は社会に拠り所のない人々の集まりでした。
そういった人たちが、お互いの傷を共有し愛し合うことで、柴田家は血縁を越えて繋がりあっていたのです。
一般的に家族というと、血縁や戸籍によって繋がった世帯を思い浮かべる人が多いでしょう。
そういった従来の「家族」とは違う、新しい「家族」のあり方を、『万引き家族』は観る人に考えさせます。

日本のアンダーグラウンドにある闇

『万引き家族』は、日本の貧困にスポットライトを当てた映画でもありました。
治と信代は共働きしていましたが、それでも家族を養うだけの収入は得られません。
そして貧しさゆえに、柴田家は万引きに手を染めてしまいます。
また初枝も年金だけでは生活できず、亜紀の両親からの経済的な援助を必要としていました。
こういった描写は、日本で実際にある社会問題を反映しています。

映画『万引き家族』を見る

以上のあらすじ解説、考察を踏まえて、もう一度『万引き家族』を観てみては。
以下に、本作の視聴リンクを掲載しています。

万引き家族

『誰も知らない』、『ワンダフルライフ』など多くの名作映画で知られる、是枝監督が手掛けたヒューマンドラマ。
万引きを家族ぐるみで行う一家の生活を通して、家族のあり方、日本の今を描いた作品です。
まるでドキュメンタリーのようにリアルな描写が多く、一部の視聴者の間では、気持ち悪い、気まずいといった評価もあります。
それが本作の見どころでもあるので、ぜひ自分の目で確かめてみてください。

この作品のおすすめポイント

日本のアンダーグラウンドにスポットを当てて、人々の絆を描いた映画

公開日2018年6月8日
監督是枝裕和
出演リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優
楽天で買う3,452円 Amazon Prime Videoで観る Amazonで買う3,418円 Yahoo!ショッピングで買う3,067円

まとめ

今回は、映画『万引き家族』がどんな話だったのか、あらすじ解説や、最後のシーンなどのネタバレ考察を行いました。
本作は家族をテーマにした作品であり、貧困、ネグレクト、高齢者の孤立など現代日本が抱える社会問題にもフォーカスしています。
万引きの描写やラブシーンなどもあるため、人によっては気持ち悪いと感じるかもしれません。
しかしラストまで見ると、本当の家族とは何なのか考え直すきっかけを与えてくれる映画です。

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