新書と文庫の違いとは? 見分け方や高校・社会人向けの新書のおすすめ本も
文庫と新書とは、どのように違うのでしょうか。
この記事では、新書と文庫の内容や大きさの違い、見分け方などを簡単に紹介し、おすすめの新書を紹介。
新書の中には、社会人向けだけでなく高校生や大学生も読みやすいシリーズも多数あります。
岩波ジュニア新書や、社会問題、生物や世界史を深く知れる本などに注目です。
記事を参考に、さまざまなタイプの新書に触れてみてください。
新書とは? 大きさや文庫との違い、見分け方を簡単に説明
新書とは一般的には、新しい知識や見解を提供するために書かれた本のこと。
新書と文庫の一番分かりやすい見分け方は本の形を確認することです。
新書は一般的にB6判よりやや小型の判型で173mm×106mmのサイズに作られています。
一方文庫は横幅が約10.5cm、高さが約14.8cmの大きさで、価格は廉価なのが特徴。
大きさ以外の違いによる見分け方も可能です。
新書とは新しい知識を提供するものですが、文庫とは古典やよく売れた単行本の内容に前書きや修正などを加えたものが多いです。
新書のおすすめの選び方
書店に行くとさまざまな新書があって迷ってしまうもの。
中には社会人向きの本や簡単にまとまった高校生向けの本も。
ここでは新書のおすすめの選び方を簡単に紹介します。
小学生・中学生には岩波ジュニア新書ががおすすめ
小学校高学年から中学生の子どもには岩波ジュニア新書がおすすめです。
岩波ジュニア新書は10代向けに刊行されている新書で、その年ごろならではの悩みや関心に寄り添うテーマの作品が豊富。
また岩波ジュニア新書は文体がシンプルで難しい語彙は少ないので、小中学生にとってもハードルは高くありません。
高校生や大学生向けか、社会人向けか
高校生は進路選択の参考になる本や、歴史や社会を簡単に扱った新書がぴったり。
大学生は専攻分野や就職の参考になるものが良いでしょう。
社会人なら『ジョブ型雇用社会とは何か: 正社員体制の矛盾と転機』など社会問題を扱った新書がおすすめです。
世界史、哲学などのテーマ
世界史、哲学など興味のある分野があれば、新書でさらに知識を深めましょう。
講談社現代新書の『今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢』などでは、簡単には身につかない教養を得られます。
ベストセラーや初心者が読みやすい新書大賞も
初心者の人は、読みやすいベストセラーや、1年間に刊行された全ての新書から選ばれる「新書大賞」から選ぶのもおすすめです。
累計発行部数120万部超の『ケーキの切れない非行少年たち』、新書大賞2022を受賞した『サラ金の歴史』も要チェック。
高校生・大学生向けの新書おすすめ7選
新書と文庫の見分け方や新書とは何かを知れたところで、高校生や大学生でも読みやすい新書を紹介します。
社会問題や世界史などの知識を得られる新書や、学生生活にも活かせる本が揃っています。
作家たちの17歳
この本では、太宰治や宮沢賢治、芥川龍之介などの有名な作家たちが、十代の頃に何に悩み、何を決意していたかを紹介しています。当時の日記や創作をもとに、彼らの人生と文学の原点を探る新書。
例えば、宮沢賢治の父との葛藤や仏教との関係、芥川龍之介の中学時代に著した優秀な論文についてなど、作家たちの十代を紐解いていきます。
岩波ジュニア新書なので、中学生、高校生でも読みやすいでしょう。
日本文学史に名を残す作家たちの十代の姿に、読者自身を重ねられる新書
発売日 | 2022年4月22日 |
出版社 | 岩波書店(岩波ジュニア新書) |
著者 | 千葉 俊二 |
友だち幻想
この本は、人間関係に悩む中学、高校生や大人に向けて、友だちとの関係を考えるためのヒントを提供しています。
相手が他者であるという本質的な理解から、真の理解が生まれると説く本書。かつてのムラの同質性を前提とする作法が通用した時代から、現代は人とのかかわり方の変化が求められています。
優しい読みやすい文体で書かれていて、学生におすすめなだけでなく、人間関係に悩む社会人にも読んでほしい本です。
「親しさ」ではなく、適切な距離感を持って人とかかわる大事さが分かる新書
発売日 | 2008年3月5日 |
出版社 | 筑摩書房 |
著者 | 菅野仁 |
ネット情報におぼれない学び方
この本では、インターネットでの学び方や、確かな情報の見分け方や図書館の活用法、情報リテラシーの育て方などをわかりやすく説明しています。
さらに取捨選択した情報からどのように学びを深めるかも解説。
ネットでの学びが広がる中で、情報の探し方や使い方を学ぶことはとても重要です。この本は、新しい時代の学びに役立つ一冊と言えるでしょう。
ネットとの付き合い方がわかる、大学生や社会人も読みたい岩波ジュニア新書
発売日 | 2023年2月21日 |
出版社 | 岩波書店 |
著者 | 梅澤貴典 |
農学が世界を救う!――食料・生命・環境をめぐる科学の挑戦
農業経済学や生命科学、食料、環境科学などの分野の第一人者が、その魅力や未来を語る新書。
本書では、地球全体から顕微鏡で見られる世界まで、農学の研究対象の広さと深さを知ることができます。また、人の暮らしを豊かにし、かつ自然環境を守り、生物の役に立つという、農学が目指す理想も感じることができます。
本書は、農学に興味のある人はもちろん、食や生命や環境に関心のある人にもおすすめです 。
食料、生命、環境に馴染みがない高校生や社会人でも興味深く読める新書
発売日 | 2017年10月20日 |
出版社 | 岩波書店 |
著者 | 生源寺眞一、太田寛行、安田弘法 |
読書と日本人
『読書と日本人』は、津野海太郎著の岩波新書。
この本では、日本人の読書史を『源氏物語』『更級日記』の時代から活字離れの平成、令和まで概観し、読書の意義や変遷を考察していきます。
出版や流通がなかった時代、読書黄金時代の20世紀など、読書の興味深い歴史を知ることができるでしょう。読書好きの人におすすめしたい一冊です。
日本人と読書の歴史を知り、これからの読書を考えさせられる岩波新書
発売日 | 2016年10月20日 |
出版社 | 岩波書店 |
著者 | 津野海太郎 |
人は見た目が9割
『人は見た目が9割』は、非言語コミュニケーションの重要性と面白さを紹介する本です。
著者は劇作家やマンガ原作家として、言葉以外の情報が人間の印象や感情に与える影響を感じてきました。
本書では、心理学や社会学の知識をもとに、顔つき、仕草、目つき、距離などの「見た目」が持つ意味や効果を分かりやすく解説しています。
普段の何気ない人間関係での非言語コミュニケーションの大切さに驚くでしょう。
「見た目」を自分の味方にするノウハウを知れる、読みやすい本
発売日 | 2005年10月20日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 竹内一郎 |
ケーキの切れない非行少年たち
医療少年院で働いた精神科医が見た、認知機能に問題を抱えた非行少年たちの実態と支援方法について著した新書。
著者は、凶悪犯罪を犯した一部の少年は「ケーキを等分する」ことができないほど認知力が低いことに衝撃を受けました。そして彼らに必要な教育や治療について本書で分析しています。
社会問題として注目される、非行少年の背景にある認知機能の障害や困難に光を当て、その解決策を示した意義深い一冊。
非行少年の事例とともに境界知能の人々の実態と支援方法を提示する新書
発売日 | 2019年7月13日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 宮口幸治 |
社会人向けの新書おすすめ7選
ここからは社会人におすすめの新書を紹介します。
教養を深め、さまざまな知識に触れられる本を挙げているので参考にしてください。
今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢
本書は、講談社現代新書の新シリーズ「現代新書100 (ハンドレッド)」の一冊。
この本では、全体主義に警鐘を鳴らし続けた哲学者・思想家のハンナ・アレントの思想を紹介し時代背景や現代への論考を展開。
本書は、全体主義をもたらした要因が今日も存在していることを指摘。グローバリゼーションやテクノロジーが進展する中、「全体主義」が形を変えて再び登場する危険性を警告します。
アレントの思想や背景をざっくり知ることができる講談社現代新書
発売日 | 2022年9月15日 |
出版社 | 講談社 |
著者 | 牧野雅彦、ハンナ・アレント |
ジョブ型雇用社会とは何か: 正社員体制の矛盾と転機
本書では、著者が提唱した「ジョブ型」と「メンバーシップ型」という雇用システムの対比から、日本の雇用の歴史と今の労働問題を分析します。
誤解だらけの「ジョブ型論」が世間にはびこる中で、ジョブ型とは何かを解説したうえで、日本の労働問題の各論を考察。
少し難しい内容もありますが、これから社会人になる人や人事関係者、労働に関心がある人におすすめの本です。
変わりゆく日本の労働について、ジョブ型提唱者が考察した岩波新書
発売日 | 2021年9月17日 |
出版社 | 岩波書店 |
著者 | 濱口桂一郎 |
世界史を変えた薬
こちらの講談社現代新書は、サイエンスライターの佐藤健太郎さんが書いた本。
この本では、ビタミンC、モルヒネ、麻酔薬などが、どのようにして人類の世界史や運命に影響を与えたかを紹介しています。例えば、コロンブスがビタミンCを知っていたら、もしチャーチルが感染症で急死していたら…。世界は大きく変わっていたでしょう。
薬の歴史を知れるとともに、教養と薬学が結びついた、読みやすい一冊です。
医薬品がいかに人類の世界史を変えてきたかがよく分かる新書
発売日 | 2015年10月16日 |
出版社 | 講談社 |
著者 | 佐藤健太郎 |
サラ金の歴史-消費者金融と日本社会
本書は、個人への少額の融資を行ってきたサラ金や消費者金融の歴史を追います。
この業界は、戦前の素人高利貸から質屋、団地金融を経て変化し、経済成長や金融技術の革新で躍進。しかし、バブル崩壊後、多重債務者や厳しい取り立てによる社会問題が取りざたされました。
本書は、ジェンダーや家計など多様な視点から消費者金融と日本経済史を描いた珍しい新書です。
サラ金の成り立ちや背景を知ることができる、お金×歴史を描いた意欲作
発売日 | 2021年2月24日 |
出版社 | 中央公論新社 |
著者 | 小島庸平 |
荘園-墾田永年私財法から応仁の乱まで
日本中世の政治経済・社会の根幹をなした荘園制についてわかりやすく解説した本です。
公家や寺社、武家など支配層の私有農園をいい、奈良時代に始まり、応仁の乱後に終焉を迎えた「荘園」。
本書では、荘園の成立過程や構造、農業生産や貨幣流通との関係、武士勢力による侵食や抵抗など、荘園制の変遷と中世社会の動向を詳細に追います。
本書は、中世史に興味のある社会人や学生の参考になるでしょう。
日本の中世社会の土地制度と政治史を分析した勉強になる新書
発売日 | 2021年9月21日 |
出版社 | 中央公論新社 |
著者 | 伊藤俊一 |
生物はなぜ死ぬのか
なぜ私たちは死ななければならないのでしょうか。こちらの講談社現代新書は、そんな疑問に答える、生命の起源と進化に関する科学的な本です。
実は、私たち人間の死には重要な意味があります。著者は、生物が死ぬ理由や仕組み、そして死が生命にどのような意味を持つのかについて、幅広く考察しています。
本書は、生命の不思議と美しさを感じさせるとともに、人間の存在や未来についても深く考えさせる一冊です。
死について考えることで、生き方にもヒントが得られる一冊
発売日 | 2021年4月14日 |
出版社 | 講談社 |
著者 | 小林武彦 |
妻のトリセツ
こちらの本は、妻との上手な付き合い方を女性脳の仕組みを前提に、解説する内容。
例えば、「妻の不機嫌や怒りの理由を、むやみに解明しない」「事実の否定は、心を肯定してから」など、夫にとって役立つアドバイスが盛りだくさん。
なぜか妻が怖い、顔色をうかがってしまうなど、悩める男性におすすめの本です。男性だけでなく、男女の考え方の違いを知りたい女性にもぴったり。
女性脳のメカニズム・男女の思考の違いを分かりやすく解説した読みやすい本
発売日 | 2018年10月20日 |
出版社 | 講談社 |
著者 | 黒川伊保子 |
まとめ
この記事では新書とは何か、文庫との違いや大きさによる見分け方を解説しました。
新書は時事性が高いものが多く、教養を深めてくれる本ばかり。
持ち運びにも便利な大きさなので、通勤通学の読書にも良いでしょう。
記事では高校生から大学生、社会人まで幅広くおすすめできる新書も紹介しています。
新書とは何かを知って、自分にぴったりの新書を選んで読書生活を充実させましょう。
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