【代表作も】クローズドサークルの小説おすすめ12選を紹介
KEYWORD
逃げ場のない空間で、誰が犯人かわからないまま追い詰められていくクローズドサークル小説。
サスペンスフルな展開が面白く、読者は犯人を推理しながら、事件の真相に迫っていくことができます。
クローズドサークル小説は、読者を引き込み、一度だけでなく何度も読み返したくなるような作品も豊富。
綾辻行人さんの代表作、『十角館の殺人』、『霧越邸殺人事件』や、海外作品からもおすすめの作品を紹介します。
ぜひ、読んでみてください。
ミステリー小説におけるクローズドサークルとは
クローズドサークルとは、何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件を扱った作品を指すミステリー用語です。
例えば、閉鎖された部屋で起こった殺人事件などがクローズドサークルに該当します。
また、登場人物たちの心理描写が詳細に描かれていることも特徴的です。
クローズドサークルと密室の違いとは
クローズドサークルと密室小説は、限られた空間で行われる犯罪という点では同じ。
ですが、クローズドサークルは部屋ではなく、島や山荘、列車などの広い範囲が舞台になります。
また、登場人物たちの心理的な緊張感や恐怖感を高め、物語の雰囲気を盛り上げます。
密室は、部屋の内部で人が殺されており、なおかつ、その犯人が室内に存在しない状態のことです。
不可能犯罪のほころびを見出すことで推理の楽しみを味わえます。
クローズドサークル小説の選び方
クローズドサークル小説は、著者の代表作を選ぶのもおすすめです。
クローズドサークル小説の王道とも言えるアガサ・クリスティーの代表作なら、『そして誰もいなくなった』や『オリエント急行殺人事件』などがおすすめ。
日本では、綾辻行人の『十角館の殺人』などが挙げられます。
他にも舞台やテーマに注目してみると、作品の雰囲気が変わり楽しめます。
【100人に調査】クローズドサークルのおすすめ作品を教えてください
ブックスコレクション編集部では、小説好き100人にアンケート調査を実施。
おすすめのクローズドサークル小説について回答してもらいました。
1位は『そして誰もいなくなった』、2位は『オリエント急行殺人事件』となりました。
3位は『十角館の殺人 新装改訂版』という結果に。
ミステリー小説の王道作品がランクインしていますね。
さらにブックスコレクションでは、その作品を選んだ理由についても聞きました。
以下、1位から3位までの回答を抜粋しています。
作品名 | 選んだ理由 |
---|---|
1位『そして誰もいなくなった』 | 「人の心理をうまくつき、疑心暗鬼になりながらも推測する楽しみがあるから」 |
「展開のスピード感や、登場人物それぞれのエピソードが更にリアリティを増して、全体的に楽しめるから」 | |
「エピローグを読むまで、誰が犯人なのか分からない仕組みで、最後まで目を離せない名作だから」 | |
2位『オリエント急行殺人事件』 | 「全体的におしゃれな感じで、一緒にオリエント急行に乗っている気分にさせてくれるから」 |
「一つの列車の中という極めて閉鎖された空間での作品なので、登場人物がたくさんいてもわかりやすく読めてどきどきするから」 | |
「出てくる人物たちがお金を持ってて少し憧れを抱くような人たちなので、読んでいて優雅な気持ちにさせてくれるから」 | |
3位『十角館の殺人 新装改訂版』 | 「普段本を読まない人でも読みやすい文体でありながら、王道を踏まえつつ新しい要素もあるため従来からのミステリファンも楽しめるから」 |
「初めて読んだ時、私はまだ学生でした。その時からもう10年以上経過しましたが、結末まで読み終えた時の衝撃は未だに覚えています」 | |
「映像映えしそうな建物のつくりや島の様子、それぞれの個性あるキャラクターが面白いから」 |
・調査対象:小説好き100人
・調査期間:2023年8月
・調査方法:インターネットによる対象者へのアンケート
・調査機関:ブックスコレクション編集部
おすすめのクローズドサークル小説12選
島や山荘、列車などの孤立した場所が舞台になった作品が定番。
歴史や伝説に関連した作品など、様々なバリエーションがあります。
それぞれの作品のあらすじや魅力、おすすめポイントを紹介します。
十角館の殺人 新装改訂版
物語は、大分県の大学のミステリー研究会のメンバー7人が、無人島・角島にある十角形の奇妙な館で合宿をするところから始まります。
館を建てた建築家、中村青司は半年前に自宅で焼死したはず。
ですが、島では不可解な出来事が次つぎと起こります。
犯人は死んだはずの建築家なのか、それともミステリー研究会のメンバーにいるのか。
驚愕の結末が待ち受ける本格ミステリー小説です。
綾辻行人のデビュー作。叙述トリックが魅力的なミステリー小説。
発売日 | 2007年10月16日 |
出版社 | 講談社 |
著者 | 綾辻行人 |
霧越邸殺人事件 〈完全改訂版〉 (上)
『霧越邸殺人事件』は、綾辻行人の代表作のひとつです。
この作品は、信州の山中にある洋館「霧越邸」を舞台にした本格ミステリー。
劇団「暗色天幕」の一行が山荘に訪れたところから物語が始まります。
やがて吹雪に閉ざされた状況の山荘で連続殺人事件が発生します。
殺人事件は、北原白秋の詩に見立てられており、犯人の正体や動機、そして山荘の秘密が次々と明らかになっていきます。
綾辻行人の独特な世界観と文体が楽しめる代表作。山荘が舞台設定の作品。
発売日 | 2014年3月25日 |
出版社 | 角川文庫 |
著者 | 綾辻行人 |
月光ゲーム 江神二郎シリーズ
夏合宿のために矢吹山のキャンプ場にやってきた英都大学推理小説研究会のメンバーたち。
キャンプ場が舞台のクローズドサークルミステリーです。
矢吹山が噴火して陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまいます。
その極限状況の中で、月の魔力に誘われたかのように出没する殺人鬼。
犯人は誰なのか、そして、現場に残されたYの文字は何を意味するのか。
有栖川有栖のデビュー長編。登場人物たちの青春や恋愛も描かれた青春ミステリー。
発売日 | 1994年7月15日 |
出版社 | 東京創元社 |
著者 | 有栖川有栖 |
双頭の悪魔 江神二郎シリーズ
この作品は、英都大学推理小説研究会のメンバー(EMC)が、四国山中に孤立する芸術家の村で起こる連続殺人事件に巻き込まれるというストーリーです。
しかし、大雨によって橋が落ちて村は陸の孤島と化し、殺人事件が発生。
川の両側に分断された江神・マリアと、望月・織田・アリスという二つのグループがそれぞれ別の事件を解決しようとする構造が巧みで、読者も二つの謎に挑戦することができます。
主人公の鋭い洞察力と推理能力が見事な本格ミステリー。
発売日 | 1999年4月26日 |
出版社 | 東京創元社 |
著者 | 有栖川有栖 |
屍人荘の殺人
神紅大学ミステリ愛好会メンバーで探偵の葉村譲と助手の明智恭介。
映画研究部の夏合宿に参加するために、ペンション紫湛荘を訪れます。
しかし、そこでゾンビに襲われたうえに、連続殺人事件に巻き込まれてしまいます。
逃げ場も助けもない状況で、葉村たちは生き残るために真相を追います。
スリルと謎解きと感動が詰まった傑作ミステリーです。
ゾンビというホラー要素を取り入れながらも、本格的な推理小説。
発売日 | 2019年9月13日 |
出版社 | 東京創元社 |
著者 | 今村昌弘 |
そして誰もいなくなった
孤島に招待された10人の男女が、次々と殺されていくという衝撃的なストーリーです。
招かれた10人は職業や年齢もさまざまですが、それぞれに過去に隠した罪があります。
彼らの性格や動機が徐々に明らかになっていく過程は、心理描写の巧みさを感じさせます。
彼らが殺される理由は何なのか、最後までハラハラドキドキしながら、謎を解く作品です。
『十人のインディアン』という童謡が殺人事件の手口のヒント。
発売日 | 2010年11月10日 |
出版社 | ハヤカワ文庫 |
著者 | アガサ・クリスティー |
訳 | 青木久惠 |
オリエント急行殺人事件
豪華列車「オリエント急行」に乗り合わせた13人の乗客と名探偵ポアロ。
大雪で立ち往生した列車の中で、一人の富豪が刺殺されるという事件に巻き込まれます。
被害者は、過去にアメリカで起きた誘拐殺人事件の犯人と疑われていた男でした。
そして、オリエント急行に乗り合わせた乗客は、その事件に関係していることが判明します。
ポアロは乗客たちの証言や証拠品から、驚くべき真相を導き出します。
結末を知っていても面白いほど、巧妙なトリックと衝撃的な真相が読者を引き込む。
発売日 | 2017年4月11日 |
出版社 | 光文社 |
著者 | アガサ・クリスティー |
訳 | 安原和見 |
七人の証人 新装版
物語は、十津川警部が帰宅途中に何者かに襲わるところからはじまります。
彼が気がつくと不思議な島にいました。
島内にはある町の一角が、映画のセットのように忠実に作られていて、そこには七人の男女がいます。
十津川以外の者は、全員ある殺人事件の証人だったことが判明。
その事件で獄死した被告の父親が、無実を訴え続けた息子の無念を晴らすため証人七人に当時の証言を再現させると、証言の矛盾が露呈する事態に。
日本のミステリー作家、西村京太郎の代表作。
発売日 | 2021年6月15日 |
出版社 | 講談社 |
著者 | 西村京太郎 |
インシテミル
時給11万2000円という破格の条件で「ある人文科学的実験の被験者」になった12人の男女。
とある施設に閉じ込められ、殺人ゲームに巻き込まれてしまいます。
人を殺すと報酬が得られるルールの中、殺人が起こり、疑心暗鬼に駆り立てられる参加者たち。
主人公の結城は、他の参加者や実験の目的に疑問を抱き始めます。
果たして、このゲームの真相とは何なのでしょうか。
互いに推理を戦わせ始める彼らを待ち受ける衝撃の運命とは。
発売日 | 2010年9月20日 |
出版社 | 文春文庫 |
著者 | 米澤穂信 |
ジェリーフィッシュは凍らない 〈マリア&漣〉シリーズ
特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。その発明者である、ファイファー教授たち技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。
ところがその最中に、メンバーの1人が変死。
さらに、試験機が雪山に不時着してしまいます。
脱出不可能という状況下、次々と犠牲者が増えていきます。
科学技術やミステリー作品へのオマージュが織り込まれています。
発売日 | 2019年6月28日 |
出版社 | 東京創元社 |
著者 | 市川憂人 |
冷たい校舎の時は止まる(上)
ある雪の日、学校に閉じ込められた男女8人の高校生。
開かない玄関の扉、そして誰も登校してこない、時が止まった校舎。
2ヵ月前に起きた学園祭で自殺した同級生のことを思い出しますが、その名前と顔が誰もわかりません。
不可解な現象の謎を追ううちに、彼らは自分たちの過去と向き合っていくことになります。
感動的でサスペンスフルな物語です。
閉じ込められた校舎というクローズドサークルの中で、自殺の理由が明らかになる。
発売日 | 2004年6月9日 |
出版社 | 講談社 |
著者 | 辻村深月 |
硝子の塔の殺人
この小説は、ミステリを愛する大富豪の神津島太郎が、地上11階・地下1階の硝子の館に様々な職業や特技を持つゲストたちを招待するところから始まります。
しかし、神津島が殺されたことをきっかけに、硝子の館で次々と起こる殺人事件や13年前の未解決事件の秘密が明らかになっていきます。
謎を追うのは、自称名探偵の碧月夜と神津島の専属医である一条遊馬です。
伏線やトリックが巧みに仕掛けられた作品。
伏線やトリックが巧妙で、最後まで予想できない衝撃的な結末が待っています。
発売日 | 2021年7月30日 |
出版社 | 実業之日本社 |
著者 | 知念実希人 |
まとめ
読者に犯人当ての楽しみを提供するだけでなく、登場人物の心理や人間関係の変化も描き出すクローズドサークル。
この記事では、クローズドサークルの小説の選び方やおすすめの作品を紹介しました。
著者の代表作を選べば失敗も少なくおすすめです。
またクローズドサークルの種類や舞台設定によって雰囲気やテーマも変わります。
自分の好みに合ったトリックや伏線、結末があるかどうか探してみてください。
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