バッドエンドの映画特集 後味の悪い日本の鬱映画やメリーバッドエンドの意味も
KEYWORD
「凄いものを観てしまった」と観る人に衝撃を与える、救いのないバッドエンド映画。
幸せな気持ちになれるハッピーエンドの映画もいいですが、たまには心が抉られるような後味の悪い救いようのない邦画や洋画も楽しみたいものです。
今回は、そんな気分の時におすすめのバットエンド映画を洋画、邦画に分けて紹介。
衝撃的な結末に胸が締めつけられる気持ち悪い映画から、オチがすごいホラー映画まで厳選しました。
メリーバッドエンド映画など様々な解釈が生まれる作品やメリバの意味も紹介するので、チェックしてみてください。
後味が悪いバッドエンドの鬱映画・気持ち悪い映画
バッドエンドの鬱映画や気持ち悪い映画と言えば、後味が悪いモヤモヤ感が特徴です。
中には、視聴者に解釈を委ねるメリーバッドエンドの救いようのない映画もあります。
観終わったあとも心の中にしこりが残るような感覚で、ハッピーエンドの映画よりも記憶に残り続けるとなるでしょう。
考えさせられる作品が観たい気分の時には救いのないバッドエンド映画はぴったりです。
メリーバッドエンド(メリバ)の意味やメリバ映画とは
メリーバッドエンドは、幸福とも不幸とも捉えられる物語の結末のことを意味し、略して「メリバ」ともいいます。
作品を観る人が違えば受け取る印象も変わるのです。
他人から見るとバッドエンドでも、主人公や登場人物が「幸せ」を感じているならメリバといえます。
たとえば、主人公が精神的に追い詰められて死を選んだら普通「可哀想」と思いますが、「苦しみから解放されて良かった」と受け取れる場合もあるでしょう。
このように救いようのない映画に見えても、さまざまな解釈や意味を楽しめるのがメリーバッドエンド映画の魅力です。
【100人に調査】バッドエンドの映画と言えばなんですか?
ブックスコレクション編集部では、映画好き100人にアンケート調査を実施。
バッドエンドの映画と言えば思いつく作品について回答してもらいました。
1位は『ミスト』、2位は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』という結果に。
3位には『それでもボクはやってない』がランクインしました。
さらに、上記のような救いようのない邦画・洋画作品を選んだ理由についてもアンケートを実施。
1位から3位までの回答を抜粋しています。
作品名 | 選んだ理由 |
---|---|
1位『ミスト』 | 「追い詰められた末の判断が最悪な結果になってしまうという、えも言われぬ終わりを迎えるところ」 |
「主人公の最後の叫び声が悲痛すぎたことが忘れられないから」 | |
「善人や正気を保った人が救われない結末に呆然とする、救いのない虚無感の残る映画だから」 | |
2位『ダンサー・イン・ザ・ダーク』 | 「ラストが暗すぎてずっと暗い気持ちをひきずってしまうから」 |
「純粋な主人公が、なんでこんな残酷なことになってしまったのだろうかととても心が痛かったから」 | |
「どの視点に立っても悪とは言い切れず、もちろん悪だが、そうせざるを得ない事情もわかる部分もあってやるせないから」 | |
3位『それでもボクはやってない』 | 「本当に胸糞の悪い話ではあるのですが、こういう事実があったことを知っておくべきだと思います」 |
「自分の身の周りで起こりうるかもしれない物語で見入ってしまう映画だったから」 | |
「真実を知らせてくれているから。疑わしきは罰せずではないことを教えられた」 |
・調査対象:映画好き100人
・調査期間:2023年8月
・調査方法:インターネットによる対象者へのアンケート
・調査機関:ブックスコレクション編集部
バッドエンド映画・救いようのない映画9選:海外映画・洋画
それではまず、洋画でおすすめの、後味が悪いバッドエンド映画・救いのない映画を見ていきましょう。
人間の心の中の闇に焦点を当てた物語から、謎の生物との闘いを描く気持ち悪い映画やメリバ映画まで、幅広く紹介します。
ファニー・ゲーム
別荘で優雅なバカンスを過ごす予定だったショーバー一家。
しかし、別荘に見知らぬ青年たちが乱入してきたことで悲劇が始まります。
青年たちは一家の皆殺しを宣言し、恐ろしい「ファニーゲーム」が始まるのでした。
そのショッキングな作風で、映画館では途中で離席する人も続出した、鬱映画の金字塔とも言える救いようのない映画。
観る人は選びますが、記憶に残り続けること間違いなしのバッドエンド映画です。
観終わったあとの後味の悪さが癖になる、鬱映画の代表作
公開日 | 2001年10月20日 |
監督 | ミヒャエル・ハネケ |
出演 | スザンヌ・ロタール、ウルリッヒ・ミューエ、アルノ・フリッシュ |
ダンサー・イン・ザ・ダーク
アメリカで息子と2人暮らしをしているチェコ移民のセルマ。
実は彼女と息子は、手術を受けなければ視力を段々と失っていく、遺伝性の病気を抱えていました。
大切な息子に手術を受けさせたいという思いで必死に働いていたセルマですが、ある日、貯めていた手術費用を盗まれてしまう事件が起きます。
そこからセルマの運命の歯車が大きく狂いだすのでした…。
襲いかかる悲劇に心が辛くなる、鬱映画とも言えるメリーバッドエンド洋画の名作です。
過酷な運命を辿る主人公の姿に心が抉られる、記憶に残り続ける気持ち悪い映画
公開日 | 2000年12月23日 |
監督 | ラース・フォン・トリアー |
出演 | ビョーク、デヴィッド・モース、カトリーヌ・ドヌーヴ |
ミスト
濃霧の中に潜む謎の生物を恐れ、人々が混乱していく様子を描いたパニック映画。
嵐のあと、街を濃霧が覆い、霧の中にいる謎の生物が人々を襲いはじめます。
パニックに陥った人々は段々と常軌を逸した行動をとるようになり…。
霧の中に潜む謎の生物の正体とは一体何なのでしょうか。
最後は衝撃的なラストが待ち受けます。
予想できないストーリー展開を楽しみたい人におすすめの救いのない映画です。
霧の中にいる謎の生物の恐怖を描く、オチがすごいパニック・ホラー映画
公開日 | 2008年5月10日 |
監督 | フランク・ダラボン |
出演 | トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローリー・ホールデン |
ペット・セメタリー
ペットのお墓を軸にして、人間の心に潜む闇を描いた洋画のホラー映画。
家族とともに引っ越してきたばかりのルイスは、事故で死んでしまった飼い猫を、新居の裏の「ペット・セメタリー」のさらに奥の森に埋葬します。
すると翌日、飼い猫が凶暴化して生き返り、ルイスの前に姿を現したのでした。
そして時が経ち、事故で娘を亡くしたルイスは、猫と同じように森に埋葬しますが…。
恐怖と切なさが入り交じったホラー作品です。
死を受け入れられない人間たちが迎える結末が切ないバッドエンド映画
公開日 | 2020年1月17日 |
監督 | ケビン・コルシュ、 デニス・ウィドマイヤー |
出演 | ジェイソン・クラーク、エイミー・サイメッツ、ジョン・リスゴー |
ライフ
6人の宇宙飛行士が地球外生命体から襲われる恐怖を描いたSFパニック・ホラー映画です。
火星で発見された未知の生命体の調査をしていた6人。
しかし、その未知の生命体が進化と成長を遂げ、宇宙飛行士たちを襲うようになります。
果たして、宇宙飛行士たちはどうなってしまうのでしょうか。
予想外の結末を迎える、最後の1分まで目が離せない作品です。
オチがすごい映画が観たいという人におすすめします。
未知の生命体の恐怖が迫力たっぷりに描かれた新感覚のSFホラー映画
公開日 | 2017年7月8日 |
監督 | ダニエル・エスピノーサ |
出演 | ジェイク・ギレンホール、レベッカ・ファーガソン、ライアン・レイノルズ |
ドッグヴィル
人口15人ほどの小さな町「ドッグヴィル」。
ある日その町に、金髪の女が逃げ込んできます。
怯えている彼女の様子を見たトムは、住民たちに対して、町の仕事を手伝ってもらう代わりに彼女を受け入れることを提案するのでした。
ところが、次第に町の人の態度は歪な形に変化していき…。
人間の本性を暴き、人の心の汚い部分を生々しく描いた鬱映画の傑作。
心に引っ掛かりが残るような救いようのない映画を観たい人におすすめです。
人の心に潜む闇をリアルに汚く描き出した、後味の悪い洋画の名作
公開日 | 2004年2月21日 |
監督 | ラース・フォン・トリアー |
出演 | ニコール・キッドマン、ポール・ベタニー、クロエ・セヴィニー |
縞模様のパジャマの少年
裕福な家庭で育ったドイツ人の少年と、ユダヤ人の少年が関わったことで物語が始まります。
2人はユダヤ人強制収容所の柵越しに出会い、友情を育んでいくのでした。
しかし、純粋な2人がとった行動が原因で、物語は予想できない悲しい結末を迎えてしまいます。
ラストシーンは歴史上の悲劇をリアルに生々しく表現しており、一度観たら忘れられない鬱映画・救いのない映画です。
結末が強烈な印象を残す2人の少年の友情を描いた、救いのない映画
公開日 | 2009年8月8日 |
監督 | マーク・ハーマン |
出演 | エイサ・バターフィールド、デヴィッド・シューリス、ヴェラ・ファーミガ |
ブラック・スワン
ニューヨーク・シティ・バレエ団の真面目で努力家のバレリーナ・ニナ。
そんな彼女にチャンスが巡ってきます。
新シーズンの「白鳥の湖」公演のプリマ・バレリーナに抜擢されたのでした。
白鳥と黒鳥を演じ分けなければいけないこの演目で、自分とはかけ離れた狡猾な黒鳥を演じることに苦戦したニナ。
そして彼女は段々と心のバランスを崩していきます。
圧巻のダンスシーンと繊細な心理描写で見応えのあるメリバの映画です。
メリーバッドエンドで観客に強烈な印象を与えるバレエ映画
公開日 | 2011年5月13日 |
監督 | ダーレン・アロノフスキー |
出演 | ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス |
ミッドサマー
家族を事故で失った大学生のダニーは、夏休みに友人や恋人とスウェーデンのある村で開かれる「90年に一度の祝祭」を訪れます。
そこは太陽が沈まない白夜の村で、鮮やかな花が咲く幻想的な場所でした。
しかし、儀式で突然老人たちが崖から飛び降り死んでしまい、不穏な空気が漂い始めます。
ショッキングな映像と美しい映像の対比に圧倒されること間違いなし。
最後はさまざまな解釈ができる、おすすめのメリバ映画です。
閉鎖的な村でカルト儀式に巻き込まれる、救いようのないメリーバッドエンド映画
公開日 | 2020年2月21日 |
監督 | アリ・アスター |
出演 | フローレンス・ピュー、ジャック・レイナー、ウィル・ポールター |
バッドエンド映画・救いようのない映画6選:日本映画・邦画
次に、日本の映画(邦画)から後味が悪いバッドエンド映画・救いようのない邦画を紹介します。
社会問題に切り込んだ作品から、刑事と殺し屋の闘いを描いた作品まで、幅広く取り上げます。
誰も知らない
自由奔放な母親と暮らす、父親が違う4人の兄弟。
「息子と2人暮らし」という、母親が大家についた嘘が原因で、彼らは学校にも通えていませんでした。
そんな中、母親が20万円を残して失踪します。
何とか自分たちの力で生き延びようとする彼らに待ち受ける運命は、残酷なものでした。
救いのない結末で日本の育児放棄問題を浮き彫りにした邦画作品です。
母親に捨てられた少年少女たちの残酷な運命を描いたバッドエンド映画
公開日 | 2004年8月7日 |
監督 | 是枝裕和 |
出演 | 柳楽優弥、YOU、加瀬亮 |
クリーピー 偽りの隣人
元刑事の犯罪心理学者・高倉と、妻の庸子。
新居に引っ越した2人は、隣の家に住む西野一家に違和感を抱きます。
そしてある日、西野の娘の澪が高倉家に駆け込んできて、「あの人、お父さんじゃありません。」という衝撃的な言葉を発したのでした。
それから高倉夫妻はどんどん隣人の闇に吸い込まれていき…。
奇妙な隣人の正体に、最後まで目が離せない日本のサスペンス・スリラー映画です。
奇妙な隣人に巻き込まれていく夫婦を描く、後味が悪いサスペンス映画
公開日 | 2016年6月18 |
監督 | 黒沢清 |
出演 | 西島秀俊、香川照之、竹内結子 |
それでもボクはやってない
痴漢冤罪をかけられた男の悲劇的な運命を描いた物語。
サラリーマンの金子は、通勤ラッシュの電車の中で女子高生から痴漢と間違われてしまいます。
「やっていない」という主張は受け入れられず、法廷の場で、金子の無実を訴える闘いが始まるのでした。
日本の裁判における冤罪を晴らすことの難しさに焦点を当てた、後味が悪い邦画作品です。
日本の裁判の問題点を浮き彫りにした、救いようのないバッドエンドの衝撃作
公開日 | 2007年1月20日 |
監督 | 周防正行 |
出演 | 加瀬亮、瀬戸朝香、山本耕史 |
リリイ・シュシュのすべて
中学2年生の雄一は、沖縄旅行をきっかけに変わってしまったかつての親友・星野にいじめられ、息苦しい日々を送っています。
そんな彼の唯一の心の拠り所は、歌姫リリイ・シュシュの歌声でした。
彼は自分でファンサイトを運営し、そこで出会った人物と心を通わせていきますが…。
少年少女たちの心の闇を包み隠さずリアルに描き、観終わったあともモヤモヤが残り続けるメリバ映画です。
人間の心のダークな部分を余すことなく描いた、救いようのない青春バットエンド映画
公開日 | 2001年10月6日 |
監督 | 岩井俊二 |
出演 | 市原隼人、忍成修吾、蒼井優 |
その男、凶暴につき
ビートたけしの初監督作品です。
暴力的で警察署内からも異端視されている刑事と、ヤクザに雇われている殺し屋の争いを描いています。
激しい暴力描写の中にもしっかりと愛が存在していて、自然と物語に引き込まれてしまうところが魅力です。
救いのない結末に、思わず涙してしまうこと間違いなし。
北野武が作り出す世界観の原点となった邦画作品です。
「世界の北野」の原点となった、愛と暴力が共存する日本の名作
公開日 | 1989年8月12日 |
監督 | ビートたけし |
出演 | ビートたけし、白竜、遠藤憲一 |
凶悪
記者の藤井は、死刑囚の須藤からの手紙を受け取ります。
そこにはまだ立件されていない事件の話やその背後に「先生」と呼ばれる首謀者がいることが書かれていました。
藤井は事件の真相を突き止めるために調査にのめり込んでいきます。
極悪非道な悪人を演じるリリー・フランキーとピエール瀧の怪演に注目。
ノンフィクション小説を映画化した、後味が悪い、救いようのない邦画です。
実際に起こった事件を描いた鬱映画で、人間の恐ろしさを感じる救いのない結末
公開日 | 2013年9月21日 |
監督 | 白石和彌 |
出演 | 山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー |
まとめ
おすすめのバットエンド映画・救いのない映画を洋画と邦画に分けて紹介しました。
人に寄って解釈が分かれやすいメリーバッドエンド(メリバ)作品や救いようのない邦画など、奥が深いバッドエンド映画。
中には気分が落ち込んでしまうような鬱映画や気持ち悪い映画もあるので、苦手な人もいるかもしれません。
しかし、一生忘れられない心に残る作品と出会える可能性もあります。
バッドエンド映画が好きな人も、少し抵抗があるという人も、ぜひ紹介した作品を視聴してみてください。
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