『西の魔女が死んだ』の名言集 あらすじや作者が伝えたいこと、内容も解説
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累計発行部数200万部をこえるベストセラー小説を知っていますか。
心に染み入るような場面や、背中を押してくれる場面があり読者の人生を支えてくれるような小説です。
作中に登場する「西の魔女」と呼ばれるおばあちゃんの名言には、人々の心を揺れ動かす魅力があります。
今回は『西の魔女が死んだ』のあらすじや内容、作者の伝えたいことなどを解説するので、チェックしてみてください。
『西の魔女が死んだ』のあらすじ・内容
中学に入学したまいは、学校生活に疲れ不登校になってしまいます。
まいは喘息の治療も兼ねて大好きなおばあちゃんのいる田舎でしばらく暮らすことになりました。
そこでまいはおばあちゃんから「魔女修行」の手ほどきを受けることに。
ジャムを作ったり、お気に入りの場所を作ったりとわくわくすることばかりの修行で、徐々に元気を取り戻すまい。
しかし、まいとおばあちゃんの確執を生む事件が起こってしまいます。
『西の魔女が死んだ』の登場人物
あらすじを押さえたあとは、『西の魔女が死んだ』の登場人物を紹介。
登場人物の背景を踏まえた上で作品を読めば、名言がより深く心に刺さることでしょう。
まい
イギリス人と日本人のクオーターで、喘息持ちの少女。
学校では周囲に馴染めずクラスでは浮いた存在になり、その末不登校になってしまいます。
持病の喘息を治すという理由もあって、おばあちゃんのいる田舎でしばらく過ごすことに。
おばあちゃん
まいの母方の祖母にあたる人物で英国人。
まいを温かく見守り、魔女になるための修行を手ほどきます。
時に魔女らしく大胆な一面があり、周囲に対しては寛容な性格。
「自分で決めること」の大切さをまいに伝えていきます。
お母さん
日本人とイギリス人のハーフであるまいの母親。
娘の不登校に戸惑いますが、まいを「西の魔女」と呼ぶおばあちゃんのもとで過ごさせる事を決めました。
自身も日本の学校に馴染めずに悩んだ過去があります。
パパ
単身赴任中のまいの父親。
静養中のまいのもとへ出向き、転校することを提案します。
淡白な性格で、まいが死について聞いたときは「死んだらそれっきり。」と答えたことがありました。
ゲンジさん
おばあちゃんの近所のおじさん。
気が利かず横柄に見える所があり、まいは苦手な存在だと感じます。
ゲンジさんに対するまいとおばあちゃんの認識の違いが、やがて2人の確執を生む原因となります。
作者が伝えたいこと
『西の魔女が死んだ』には、人生の指標になることがたくさん詰まっています。
例えば、すべての基盤は規則正しい生活であること、挫けそうなときは自分か変わる前触れであること。
さらに、目に見える物事だけにとらわれないこと、生きやすい場所で生きることもありました。
作者が一番伝えたいことは、自分で決める力をつければ生きやすくなるということなのでしょう。
伝えたいことが沢山! 『西の魔女が死んだ』の名言
ここからは、『西の魔女が死んだ』の名言について解説。
名言に至るまであらすじと内容、作者の伝えたいことも含めて詳しく紹介していきます。
そうね、何が幸せかっていうことはその人によって違いますから。まいも、何がまいを幸せにするのか、探していかなければなりませんね。
おばあちゃんには不思議な力があります。
たとえ遠くのものでも見たいものを見ることが出来るというその力によって、婚約者を救ったことも。
婚約者の無事を知り、彼女は助かってよかったとだけ返事をしています。
その話を聞いたまいから「今ならスターなのになぜ?」と問われたおばあちゃんが返したセリフです。
スターになることは人によっては幸せです。
しかし、秩序の枠にはまらない力は排斥されることがわかっているおばあちゃんにとって、スターになることは幸せではありませんでした。
この一言でおばあちゃんは人の望む幸せは人それぞれであることをまいに伝えているのです。
悪魔を防ぐためにも、魔女になるためにも、いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。
おばあちゃんは、まいに魔女になるために必要なものは精神力だと伝えました。
「まず、早寝早起き。食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい生活をする」のが大事だと教えます。
「そんな簡単でいいの?」と質問するまいにおばあちゃんが答えた言葉が上の言葉です。
規則正しい生活は簡単そうに見えて実は難しいこと。
だらしない生活をすると、やるべきことができなかったり、日々のことが疎かになったりして心も体調も乱れてしまいます。
だからまず規則正しい生活を送ることが大事。
これを継続して続けることで「意思の力」が鍛えられて魔女に近づくことができるのです。
ありがたいことに、生まれつき意志の力が弱くても、少しずつ強くなれますよ。(中略)そしてだんだん疑いの心や、怠け心、あきらめ、投げやりな気持ちが出てきます。それに打ち勝って、ただ黙々と続けるのです。そうして、もう永久に何も変わらないんじゃないかと思われるころ、ようやく、以前の自分とは違う自分を発見するような出来事が起きるでしょう。
意志の強さや弱さについて疑問を抱いたまい。
まいは意思の強さは生まれつき決まっているものなんじゃないの?後から強くできるもの?とおばあちゃんに問います。
それに対してのおばあちゃんの返答が上記の名言です。
人には誰でも諦めたくなるときがあります。
そんな時こそ人が変化、成長をする一歩手前なのであるということが、作者がおばあちゃんを通して伝えたいことなのでしょう。
頑張っている人の背中を押してくれて、前向きな気持ちになれる名言です。
身体は生まれてから死ぬまでのお付き合いですけれど、魂のほうはもっと長い旅を続けなければなりません。死ぬ、ということはずっと身体に縛られていた魂が、身体から離れて自由になることだと、おばあちゃんは思っています。きっとどんなにか楽になれてうれしいんじゃないかしら
『西の魔女が死んだ』という作品は「死」が一つのテーマとなっています。
このセリフはまいが「人は死んだらどうなるの?」とまっすぐに問いを投げかけてきた時のおばあちゃんの返事です。
おばあちゃんの死生観がわかりやすく表れている名言。
誰しもが考える人の死後の世界。
死後も長く生き続ける魂は、人の身体を通じて成長します。
いまこの瞬間、悩んで苦しくてもそれは魂の成長に繋がっています。
ここで作者が伝えたいことは、魂が体に宿っている時間はとても尊いということです。
「毎日を大切に生きよう」という気持ちにさせてくれます。
上等の魔女は、外からの刺激に反応しない、って言いましたね。でも、それを完璧に遂行するのは無理です。正確には、上等の魔女ほど、外部からの刺激に反応する度合いが低い、と言うべきでした。
ここでおばあちゃんの言っている「上等の魔女」とは自分のことを理解している人を示しています。
つまり、自分の心と上手く付き合う人は嫌な内容の刺激は受け取らず、受け流すことができる力を持っているということを意味しているセリフです。
嫌なことが一切ない人生はありえないでしょう。
外から受けたくない刺激を受けることは避けられません。
その刺激から自分を守るためには逃げること、受け流すことも大切だというのが作者の伝えたいことだと考えられます。
十分に生きるために、死ぬ練習をしているわけですね
まいとおばあちゃんが人の死に関する内容の話をしている中でのおばあちゃんの名言です。
先ほど紹介した名言にもあったように、人が死ぬと魂は解放されて自由になります。
その瞬間をあえて意識させるようなおばあちゃんのセリフです。
人には、人の死から自分の生を実感するときがあります。
命の期限である死を意識することが、逆説的に生きるエネルギーになっているということでしょう。
生きていられる時間には限りがあるから十分に生きようと思わせてくれる名言です。
魔女は自分の直観を大事にしなければなりません。でも、その直観に取りつかれてはなりません。そうなると、それはもう、激しい思い込み、妄想となって、その人自身を支配してしまうのです。
日頃、無神経で横柄な態度をとる近所に住むケンジさんに対して、嫌悪感を抱いていたまい。
ケンジさんの起こした行動にいよいよ我慢できなくなり、怒りを抑えられなくなったまいに対して、おばあちゃんが言ったセリフです。
人の思い込みは一度抱え込むと膨らみやすいもので、知らずのうちに自身が思い込みに支配されてしまうこともあります。
この名言で作者が伝えたいことは「目に見えることだけに囚われてはいけない」ということでしょう。
大事なことは、今更究明しても取り返しようもない事実ではなくて、いま、現在のまいの心が、疑惑とか憎悪とかいったもので支配されつつあるということなのです。(中略)そういうエネルギーの動きは、ひどく人を疲れさせると思いませんか?
1つ前に紹介した名言に続くおばあちゃんのセリフです。
まいは一度この言葉を受け入れますが、この後ケンジさんがさらにまいの怒りを買う事件を起こし、まいはケンジさんを罵倒してしまいます。
それを聞いたおばあちゃんがまいを平手打ちしてしまい、まいとおばあちゃんの間に確執が生まれることに。
相手を責めたり、憎むことにはエネルギーを使います。
そのようなネガティブなエネルギーの使い方はひどく疲れるものです。
おばあちゃんは疲れるエネルギーの使い方をするよりも、感情をコントロールする術をまいに身に付けてほしかったのでしょう。
自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか。
あらすじでは書きませんでしたが、終盤にまいは不登校になった本当の理由はいじめであったことをおばあちゃんに打ち明けます。
パパから転校を提案されたことに対して、後ろめたく思っていると話すまいに対し、おばあちゃんはシロクマに例えて話した言葉です。
シロクマにとってハワイは生きるのに適した環境ではありません。
まいもこのシロクマのように単に適さない環境に置かれていただけなのかもしれません。
自身の生きやすい環境を自分で選び取ることは決して恥ずかしいことではないし生きるうえで必要なのです。
生きづらさを感じる人には気持ちが楽になる名言。
アイ・ノウ
おばあちゃんは英国人ですが、普段の生活では流暢な日本語を話します。
しかし、まいから「おばあちゃん、大好き」と言われた時だけ決まって、おばあちゃんは「アイ・ノウ」と答えるのでした。
この2人のやりとりは作中で何度も何度も、繰り返し出てきます。
このセリフは英語の「I know」で、とても短いセリフですが様々な意味が込められていて、読者からも様々な意味にとれるセリフになっています。
「まいのことをいつも理解しているよ」「まいの愛情は伝わっているよ」「いつもまいの味方だよ」と場面ごとでのおばあちゃんの愛情が感じられる名言。
『西の魔女が死んだ』を楽しむ
『西の魔女が死んだ』は小説のほか、映画化もされています。
ぜひこの作品の温かで癒されるような魅力に触れてみて下さい。
西の魔女が死んだ
発売日 | 2001年8月1日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 梨木香歩 |
映画『西の魔女が死んだ』
公開日 | 2008年6月21日 |
監督 | 長崎俊一 |
出演 | サチ・パーカー、高橋真悠、りょう |
まとめ
今回は『西の魔女が死んだ』のあらすじと内容、名言や作者の伝えたいことなどを解説しました。
心が弱っているとき、生きづらさを感じるとき、何かに優しく背中を押してほしい時におすすめの小説である『西の魔女が死んだ』。
読み終えたときには世の中の見方や人生観が少し変わっているかもしれません。
この記事で内容に少しでも興味を持った人にはぜひ手に取ってほしい作品です。
ぜひチェックしてみて下さい。
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