【アンケート調査】森鴎外の代表作はどれ? 選ばれたおすすめ作品や作風についても紹介
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『舞姫』『高瀬舟』など、数々の名作を生み出してきた文豪・森鴎外。
明治時代から大正時代にかけて活躍した小説家ですが、現代でもその名を知らない人は少ないでしょう。
本記事では、森鴎外の作品に興味を持っている人に向けて、代表作や有名作品のあらすじと魅力を紹介します。
森鴎外の生い立ちや作風についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
有名な作品を多く生み出した森鴎外
森鴎外は、明治・大正時代に作家として活躍し、『舞姫』や『高瀬舟』などの有名な作品を数多く生み出してきました。
現在でも彼の作品を国語の授業で扱う学校が多く、アニメやゲームのキャラクターとしても取り上げられています。
100年以上の時を経ても、多くの人から愛され続けている小説家です。
森鴎外の生い立ちについて
森鴎外は、1862年に島根県で生まれました。
小説家として有名な森鴎外ですが、医者の顔も持ち、陸軍軍医のトップも務めています。
大学卒業後、衛生学研究のためにドイツへ留学。
帰国後、公務のかたわら執筆活動に励みます。
留学の経験をもとに数々の名作を生み出し、文壇での地位を確立。
翻訳家や医学ジャーナリストとしても活動し、60歳で生涯を閉じます。
死因は肺結核といわれていますが、具体的には分かっていません。
【100人にアンケート調査】森鴎外の代表作はどれ?
ブックスコレクション編集部では、森鴎外の小説をよく読む100人にアンケート調査を実施。
森鴎外の代表作について回答してもらいました。
1位は『舞姫』、2位は『高瀬舟』、3位は『山椒大夫』という結果に。
学校の教科書に載っていることも多い名作がランクインしています。
さらに、ブックスコレクション編集部では、上記作品を選んだ理由についても回答してもらいました。
1位から3位までの回答を抜粋しています。
作品名 | 選んだ理由 |
---|---|
1位『舞姫』 | 「当時の社会情勢などが活き活きと描かれており、大好きな作品です」 |
「舞台背景やストーリー性も含めて素晴らしい作品だと思う」 | |
「舞姫の内面の葛藤や、伝統的な日本文化と西洋の影響の衝突が描かれており、鴎外の鋭い観察力と繊細な描写力には圧倒されるから」 | |
2位『高瀬舟』 | 「現代にも通じる生と死に関わる正義の存在価値、安楽死の法的信義を多面的に捉えていると感じるから」 |
「尊厳死や命の意味について深く考えさせられる名著だと思うため」 | |
「明治時代の男性の視点がよく表れた物語で、様々な描写の中に、語り手の自意識が事前と織り込まれており、それを読み解くのがおもしろいから」 | |
3位『山椒大夫』 | 「小学生の時に学芸会でこの作品を演じることになり、個人的にですが一番馴染み深い作品だから」 |
「母親との再会の場面が非常に心を動かされる、いい作品だと思うから」 | |
「元話のある話だと思うのですが、家族を思う気持ちの強さが切々と描かれていて、哀しくなりながらも暖かい気持ちにもなれると言いますか、分かりやすい小説の醍醐味かなと思うので」 |
・調査対象:森鴎外の小説をよく読む100人
・調査期間:2023年7月
・調査方法:インターネットによる対象者へのアンケート
・調査機関:ブックスコレクション編集部
森鴎外の作風や魅力は?
森鴎外の魅力は、西洋文化を感じさせる格調高い表現です。
海外留学を経験した森鴎外ならではの、フランス語やドイツ語を織り交ぜた美しい文体は、後世の作家に大きな影響を及ぼしました。
また、当時の日本社会を客観的に描写した作風が多いのも特徴です。
物事の真髄をつく哲学的な問いかけや問題意識が込められた作品もあり、読了後も長く印象に残り続けます。
森鴎外作品のおすすめな選び方
森鴎外の作品に初めて挑戦するときは、どの小説から読めばいいのか迷ってしまう人も多いでしょう。
ここではおすすめの選び方を紹介するので、参考にしてください。
作品のジャンルに注目
森鴎外は、自伝、歴史物、怪談、恋愛物など、さまざまなジャンルの作品を手がけています。
森鴎外の人となりを知りたいなら自伝、恋愛小説が好きな人は恋愛物など、まずは興味があるジャンルから挑戦しましょう。
好きなジャンルが定まれば、自ずと次に読むべき本も分かってきます。
読書経験で選ぶのもポイント
あらすじを読み、自分の読書経験で選ぶのも1つの方法です。
読書経験が浅い初心者には、読みやすさを重視した短編がおすすめ。
中級者はボリュームがある長編に挑戦してみましょう。
上級者の場合は、考察が必要な作品を選ぶと読み応えがあるのでさらに楽しめます。
森鴎外の作品おすすめ10選 代表作・有名作品も
それでは、森鴎外の代表作・有名作品のあらすじや魅力を紹介します。
教科書で取り上げられている名作から自伝まで、幅広い作風・ジャンルの中からおすすめの作品を厳選しました。
舞姫・うたかたの記
役人として働く豊太郎は上司の命令でドイツ留学をすることになります。
ところが、ドイツで偶然出会った踊り子のエリスに心惹かれ、恋に落ちてしまうのでした。
やがて2人は親密になり、エリスは子供を妊娠。
自分の将来か彼女との生活か、どちらを優先するべきか分からなくなった豊太郎は迷います。
結局友人の説得で帰国を決め、エリスと別れる選択をした豊太郎。
エリスは半狂乱になり、豊太郎は自分を責めるのでした。
自身の出世と愛する人との生活の間で揺れ動く青年の苦悩を描いた物語
発売日 | 1981年1月16日 |
出版社 | 岩波書店 |
著者 | 森鴎外 |
高瀬舟
江戸時代、島流しの刑になった罪人を京都から大阪まで運ぶのが高瀬舟でした。
役人の庄兵衛は、ある日、弟殺しの罪で島流しになった喜助という男の護送を担当することになります。
楽しそうな顔をしている喜助に対して疑問を抱いた庄兵衛。
何を思っているのかと尋ねたところ、段々と喜助の話に引き込まれていき…。
本当の幸せとは何なのかを深く考えさせられる作品です。
罪人と護送人が繰り広げる会話から、本当の幸せについて考えさせられる作品
発売日 | 1992年9月18日 |
出版社 | 集英社 |
著者 | 森鷗外 |
ヰタ・セクスアリス
この小説は、性欲に関する森鴎外の自伝です。
主人公の金井は、幼い頃に目にした春画のことが忘れられずにいました。
成長した金井は東京の学校に進学し、さまざまな経験をして大人になっていきます。
初めて体の関係を結んだ相手は吉原の遊女で、その夜の出来事を悔いている金井。
息子には自分のようになってほしくないと考え、体験を綴った手記に「vita sexualis」というタイトルを刻み机の中にしまい込むのでした。
性欲に関する自身の体験をもとに創作された森鴎外の自伝的小説
発売日 | 1949年12月2日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 森鷗外 |
雁
お玉という1人の女性の自我の目覚めや恋心、挫折を第三者の視点から描いた物語。
貧しい家庭で育ったお玉は結婚に失敗し、自殺を試みますが果たせません。
その後高利貸しの妾になり、大学生の岡田と出会います。
互いに惹かれ合う2人ですが、運命のいたずらか結ばれることはなく…。
どこか哀愁漂う恋愛小説を楽しみたい人におすすめの作品です。
1人の女性が歩んだ人生をくすんだ哀愁感とともに描いた名作
発売日 | 1948年12月7日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 森鷗外 |
鼠坂
実際に文京区にある「鼠坂」を舞台にした物語です。
鼠坂に建てられた立派な邸宅の所有者は、戦争中に満州で大儲けした深淵という男性。
新築祝いに、大陸繋がりの2人の客がやって来ます。
当時の出来事について会話する中で、深淵は客の男がはたらいた悪事を話し出します。
ジャンルは怪談小説ですが、社会への揶揄も込められた奥深い作品です。
背筋が凍るような小説を楽しみたい人におすすめします。
戦争の酷さや社会への皮肉な描写も込められた奥深い短編作品
発売日 | 2016年7月31日 |
出版社 | 青空文庫POD |
著者 | 森鷗外 |
青年
主人公の小泉は、作家になるという夢を持って上京します。
そして、ある日訪れた劇場で、不思議な目を持つ未亡人・坂井と出会うのでした。
彼女の誘惑するような表情が頭から離れず、葛藤する小泉。
しかしある時ふと、彼女がただの美しい肉の塊に過ぎないと悟ります。
その瞬間に小説の執筆意欲が湧き出し、小泉は小説を書き始めるのでした。
1人の青年の内面の成長を描いた青春小説の傑作です。
作家を志す青年が未亡人と出会い、内面的な成長を遂げる姿を描いた物語
発売日 | 1948年12月17日 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 森鷗外 |
阿部一族
歴史上で実際に起こった事件を題材にして作られた短編小説です。
舞台は17世紀で、大名である細川忠利が病死したことにより起こった数々の武士の「殉死」に焦点を当てています。
江戸時代を生きた武士たちの凄まじい生き様を、強く美しく悲劇的に描き出した印象深い作品。
短編小説なので読書に慣れていない人にもおすすめです。
歴史上の悲劇的な事件をもとに武士たちの生き様を描いた短編小説
発売日 | 2007年12月14日 |
出版社 | 岩波書店 |
著者 | 森鷗外 |
渋江抽斎
実在する渋江抽斎という人物の交友関係や性格、生活に至るまでの人生を詳細に描き出
した史伝です。
渋江抽斎は考証学者であり、弘前の医官を務めていました。
森鴎外は「武鑑」収集の際に渋江抽斎の存在を知り、強く心を惹かれます。
作中には抽斎への熱い思いも綴られており、数ある森鴎外の史伝の中でも代表作といえる作品でしょう。
渋江抽斎への熱い思いが込められた、森鴎外史伝の代表作
発売日 | 1999年5月17日 |
出版社 | 岩波書店 |
著者 | 森鷗外 |
山椒大夫・高瀬舟・阿部一族
父の消息を確かめるために旅をしていた一家。
ところが旅の途中で船乗りに騙され、母親と姉弟は別々の場所に売られてしまいます。
山椒大夫のもとに売られた姉と弟は、奴隷生活を送りながら脱走の隙を窺っていました。
そしてついに弟は脱走を成功させ、父と母を見つけ出すために奔走するのでした。
説話「さんせう大夫」をもとに作られた、森鴎外の晩年の代表作です。
離れ離れになった父と母を探すために奔走する子供たちを描いた物語
発売日 | 2012年6月22日 |
出版社 | KADOKAWA |
著者 | 森鷗外 |
大塩平八郎 他三篇
政治史上で最大の反乱だといわれている「大塩平八郎の乱」を1日の出来事としてまとめた歴史小説です。
事実が詳細に記されていて、反乱がおこった一日を中心にドキュメンタリーのように楽しめます。
大塩平八郎の心情や決断の様子までもが克明に描かれた、読み応えのある作品です。
歴史上の出来事を物語として楽しみたい人におすすめします。
「大塩平八郎の乱」を1日の出来事として描いた読み応えのある歴史小説
発売日 | 2022年4月15日 |
出版社 | 岩波書店 |
著者 | 森鷗外 |
読みやすい現代語翻訳版もおすすめ
森鴎外の小説は現代語翻訳版も出版されています。
現代語翻訳版なら、森鴎外の作風や読書に慣れていない初心者でも読みやすいのでおすすめです。
現代語で読む「舞姫」
森鴎外の代表作である『舞姫』を現代語翻訳して読みやすくした小説です。
森鴎外の留学中の経験をもとに描かれた物語だともいわれており、彼の恋愛模様が垣間見えるところもおすすめポイント。
2人が時代の流れや周囲の反対に引き裂かれていくというあらすじで、切ないラブストーリーです。
森鴎外の作品を現代語で気軽に楽しみたいという人におすすめです。
森鴎外が生み出した有名作品『舞姫』を現代語で楽しめる小説
発売日 | 2012年5月 |
出版社 | 理論社 |
著者 | 森鴎外、高木敏光 |
まとめ
森鴎外の生い立ちや作風、作品の選び方を紹介し、代表作・有名作品のあらすじや魅力を解説しました。
時代を超えて愛され続ける有名な作品を数多く生み出してきた森鴎外。
彼の作品の美しい表現や文体に触れると、新たな読書の魅力に気が付けるかもしれません。
森鴎外の小説を読んだ経験がない人も、この機会に1度挑戦してみてはいかがでしょうか。
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