『2001年宇宙の旅』のあらすじやなぜHALが暴走したかについて解説
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SF映画の代表ともいわれる『2001年宇宙の旅』。
SF映画の金字塔と称される一方で、ストーリーの解釈が難しいのも事実。
中には、予想外の展開や結末に「なぜ?」と思った人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、『2001年宇宙の旅』のあらすじを紹介し、「なぜ」と感じるポイントを解説。
読み終わった後は今よりもスッキリした気分になっているはず。
ぜひチェックしてみてください。
この記事は『2001年宇宙の旅』のネタバレを含みます。
作品の結末に関するヒントを知りたくない人は注意してください。
『2001年宇宙の旅』の魅力
『2001年宇宙の旅』の魅力は、高度な映像技術と壮大なスケールにあります。
1968年公開当時、現在のCG技術はありません。
そこで、スタンリー・キューブリック監督は、カメラマン経験のもと、モーションコントロールカメラやスリットスキャン撮影、手作りの回転セットなど、さまざまな技術を駆使して作品を撮影。
監督の努力と工夫が緻密でリアルな宇宙の世界を生み、『2001年宇宙の旅』をSFの金字塔と言われる存在にしました。
『2001年宇宙の旅』のあらすじ
400万年前、サルたちは “モノリス” と呼ばれる謎の黒石板に遭遇したことで、ヒトへと進化を遂げる。
2001年、ついに人類は宇宙船を開発し、宇宙開拓を目指すように。
そんなある日、クルーたちは、月の表面に “モノリス” を発見する。
“モノリス” の謎を解明すべく、5人のクルーは木星探査へと旅立つ。
しかし、なぜか宇宙船の頭脳であるAI「HAL 9000」が暴走し、船内は混乱に見舞われる。
船長のボーマンは、HALをリセットさせようと試みるが、木星探査の真の目的を知ることになる。
『2001年宇宙の旅』の登場人物
ここからは、作品のあらすじと登場人物を紹介します。
それぞれのキャラクターをつかみながら、あらすじを振り返っていきましょう。
今までは気づかなかった新たな発見があるかもしれません。
デヴィッド・ボーマン
宇宙船「ディスカバリー号」の船長。
宇宙服は赤。
冷静沈着で真面目な気質。判断力に長けており、フランクの救出やAIの暴走時も的確な判断を行う。
HALとは信頼関係にあったが、ユニットの異常を知らされるも、ユニットに異常が見受けられなかったことからHALを疑い出す。
HAL9000
「ディスカバリー号」を管理、制御する役割を担ったコンピューター。
人間と会話を行う高度な知能を持ち、読唇術で会話を読むこともできる。
任務に失敗したことは一度もなく、HALの機能を止めようとするボーマンを船に入れないなど、任務遂行のためなら手段は選ばない。
木星探査の真の目的を知っている。
フランク・プール
船長・ボーマンと共に宇宙船に乗る副船長。
宇宙服は黄色。
船内では、ランニングをしたり、日焼けベッドで肌を焼いたりと活動的。
明るく、親しみの持てる性格で、ボーマンに忠実。
船外に出てユニットを戻す作業をしているところ、HALに締め出されてしまう。
ヘイウッド・R・フロイド
宇宙評議会のメンバーで、 “モノリス” 解明のため、月面調査へと向かう。
月では “モノリス” に触れ、苦しむ様子を見せる。
伝染病の隠蔽や機密保持の重要性について訴える、堅実な人物。
「ディスカバリー号」のクルーにビデオメッセージを残す。
『2001年宇宙の旅』の解説
登場人物が揃ったところで、あらすじをもとに『2001年宇宙の旅』の「なぜ」を解説します。
HALの言動やラストシーンなど作品に隠された謎を考察。
作品を見たけれどよくわからなかった人は必見です。
モノリスの意味
謎の黒石板 “モノリス” は作品に4度登場します。
“モノリス” の最初の登場シーンは、約400万前。
“モノリス” に触れた猿たちは、道具を使い、やがて人間へ進化していきます。
ラストシーンでは、年老いたボーマンが “モノリス” に触れたことで、謎の胎児 “スターチャイルド” へ変貌。
つまり、 “モノリス” は進化のきっかけを与える存在で、【猿→人間→老人→スターチャイルド】のように、 “モノリス” に触れた者は、次のステージへと進化するのです。
なぜHALは暴走した?
HALの暴走の原因は明らかではないですが、HALにプログラムされた「モノリスは極秘」「乗員と話し合い協力せよ」という矛盾した命令が原因で、機能に異常を来たしたと推測されます。
ボーマンらが機能を停止しようとしたため、「与えられた調査任務を完遂」することもプログラムされていたHALは暴走。
乗員を排除して自分だけで任務を完遂するという選択を取ります。
本作品では、AIが人間の頭脳を上回り、人類を脅かす存在として描かれ、人類の上のステージとしてAIの存在が示唆されました。
スターチャイルドって?
人類を超えた存在としてラストシーンに登場する、光に包まれた胎児 “スターチャイルド”。
先ほど紹介した人類の進化においては “老人” の次のステージであり、新人類であることがわかります。
映画ではラストシーンで、ボーマンが “モノリス” に触れることで、 “スターチャイルド”へと進化し、人類を超越した存在になったのです。
ラストシーンの解説
ラストシーンを解説するにあたり、重要となってくるのが “モノリス” の存在です。
先ほど、“モノリス” は「進化のきっかけである」と解説しました。
“モノリス” の影には、宇宙の創造主 “神“、もしくは地球人よりも進化した異星人の存在があります。
彼らは、スターチャイルド誕生のために地球のサルを進化させるところから始めました。
人類の進化は、未知の大きな力によって操作されていたという解釈になります。
『2001年宇宙の旅』を観る
月に人が住むようになった時代。
クレーターから、謎の石碑が発見され、ボーマン船長ら5人のクルーは石碑の謎を解明すべく、木星探査へと飛び立つ。
最新型人工知能HALを載せた宇宙船だが、ボーマンとフランクは、HALの様子がおかしいことに気付く。
やがて、HALは暴走し始め…。
リアルな宇宙の世界と衝撃的な展開が魅力。
宇宙好きやSF好きなら一度は見ておきたい不朽の名作です。
謎めいた演出は唯一無二、見れば見るほど魅力が深まるSF映画の金字塔
発売日 | 2010年4月21日 |
監督 | スタンリー・キューブリック |
出演 | キア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド |
『2001年宇宙の旅』を読む
太古の昔、地球に謎の石板が出現し、石板に触れた猿たちに異変が訪れる。
その後、月へと向かった人類の前に再び石板が現れる。
石板の謎を解明すべく、ボーマンらはディスカバリー号で宇宙へと向かうが、コンピューター・HAL9000が暴走し…。
人類の起源や宇宙の大きさについて考えさせられる壮大なストーリー。
映画よりも詳しい設定や作者の意図がわかるのが魅力。
映画を理解できなかった人への解説本にもおすすめ。
映画の原作として知られ、SF史上傑作と評される衝撃作
発売日 | 1993年2月23日 |
出版社 | 早川書房 |
著者 | アーサー・C・クラーク、伊藤典夫 (訳) |
『2001年宇宙の旅』には続編も
本作品には、続編があるのをご存じでしょうか。
ここからは、意外にも知られていない『2001年宇宙の旅』のその後を紹介します。
その後のスターチャイルドやモノリスに注目です。
2010年
ディスカバリー号が消息を絶ってから9年。
フロイド博士は、調査のためソ連の宇宙船・レオノフ号で木星へと向かう。
その頃、地球では米ソが緊張状態にあった。
果たしてフロイド博士の運命は…。
前作では明かされなかった謎が明かされる、『2001年宇宙の旅』の続編。
今までの世界観はそのまま、ミステリー性やストーリー性が楽しめるのが魅力。
前作でモヤモヤしていた人もこれを見ればすっきりした気持ちになるでしょう。
ボーマンのその後や『2001年宇宙の旅』の「なぜ」が解説される映画
発売日 | 2010年4月21日 |
監督 | ピーター・ハイアムズ |
出演 | ロイ・シャイダー、ジョン・リスゴー、ヘレン・ミレン |
2010年宇宙の旅
2010年、アレクセイ・レオーノフ号は10年前の事件の解明のために宇宙へと向かう。
その任務とは、ディスカバリー号の回収であった。
宇宙には、現在も謎の物体モノリスが浮かんでいて…。
はたして、ディスカバリー号の真相とは。
前作に劣らないスケールとハラハラドキドキする展開が魅力のシリーズ続編。
映画にはない描写が楽しめるのも魅力のひとつ。
読み終わった後は、宇宙の神秘について考えさせられるでしょう。
スケールはそのまま、ミステリーやドラマ要素の詰まったシリーズ続編
発売日 | 2009年11月20日 |
出版社 | 早川書房 |
著者 | アーサー・C・クラーク |
2061年宇宙の旅
2061年、ヘイウッド・フロイドらは75年ぶりに最接近するハレー彗星の探査に招待される。
最新式のユニバース号で彗星へと向かい、自らの手で調査進めるフロイドたちだが、思いもよらぬ出来事が待ち受けていた。
一方、フロイドの孫・クリスの乗るギャラクシー号は木星へと向かっていた。
宇宙好きにはたまらないテーマや最新技術がみどころのシリーズ第3作。
予想外の展開にきっと驚かされるでしょう。
さらなる宇宙の魅力と謎に迫るSFミステリー第3弾、親子の絆にも注目
発売日 | 1995年3月16日 |
出版社 | 早川書房 |
著者 | アーサー・C・クラーク |
3001年終局の旅
3001年、海王星の軌道で謎の漂流物が発見された。
それは約千年前にディスカバリー号に乗っていた、フランク・プールであった。
蘇生されたフランクは、驚くべき光景を目の当たりにする。
『2001年宇宙の旅』シリーズ完結編。
クラークの描く1000年後の世界観が満喫できるのでSF好きにおすすめ。
今までのシリーズの解説やモノリスの真相からも目が離せません。
ついにモノリスの実態が明かされる、読み応えたっぷりのシリーズ完結作
発売日 | 2001年3月16日 |
出版社 | 早川書房 |
著者 | アーサー・C・クラーク |
まとめ
未知の世界である “宇宙” を題材にした映画は、前衛的な表現が含まれていることが多いため、見る人に難解さを与えてしまいます。
まだ作品を見ていない人は、今回紹介したあらすじや解説を元に『2001年宇宙の旅』を見てみましょう。
作品を見たことのある人は、書籍や続編がおすすめ。
シリーズを見終わった後は、ぜひ他のキューブリック作品にもチャレンジしてみてください。
きっと独特の世界観の虜になるでしょう。
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