『変な絵』をネタバレ考察! 七篠レン心の日記やなぜユキが逃げないのかを解説
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映画にもなった本、『変な家』で一躍有名になったホラーミステリー作家、雨穴。
雨穴第2作となる『変な絵』も面白くて読みやすい小説で、普段本を読まない人にもおすすめです。
本記事ではそんな『変な絵』について気になる謎絵を徹底考察。
『七篠レン心の日記』にある絵を重ねることでわかること、あらすじのほか解説やネタバレの結末まで知りたい人は要チェックです。
この記事は『変な絵』のネタバレを含みます。
作品の結末に関するヒントを知りたくない人は注意してください。
『変な絵』の作品概要
『変な絵』はホラー作家雨穴の2作目。
『七篠レン心の日記』という、実際に存在するブログを元にした小説です。
あらすじは不可解なブログとそこに掲載されている変な絵から、消えた男の子や惨殺された死体などをめぐるというもの。
ブログを元にした小説ですが、そのブログ自体も実話ではなく緻密に作り込まれたフィクションです。
『七篠レン心の日記』は今もウェブ上に公開されているので、『変な絵』に興味をもった人はぜひ見てみてください。
『変な絵』の作者、雨穴とは
『変な家』の作者、雨穴はWebライター・YouTuberで、『変な家』でホラー作家としてデビューしました。
顔出しはしておらず、真っ黒な全身タイツに白い仮面という出立で活動しているのが特徴です。
また工作やダンス、お笑いなど、ホラーミステリー系以外の執筆・YouTube活動も行っています。
多才な雨穴のこれからの活躍に目が離せません。
『変な絵』のあらすじ解説
『変な絵』のあらすじの紹介です。
第一章では大学生の佐々木修平が、オカルトサークルの後輩である栗原に不気味なブログを紹介されます。
それが『七篠レン心の日記』というブログ。
一見普通の日記のように見えるのですが、そこに描かれている絵を重ねると謎を解明していくというあらすじ。
第二章からはいろんな関係者の視点が混じりあって、さらに細かく謎を読み解いていきます。
最終的には変な絵の謎も解明される、伏線が張り巡らされたホラーミステリー小説です。
9枚の絵の謎・考察
ここからはネタバレになりますが、『変な絵』に出てくる9枚の絵の謎について考察していきましょう。
ユキが描いた絵を重ねるとどうなるかの解説もします。
【プロローグ】少女が描いた絵
心理学者の萩尾から、11歳で自分の母親を殺害した少女が描いた絵を見せられます。
絵にはドアのない家、枝の尖った木の中に鳥、そしていびつな笑顔の少女が描かれています。
萩尾によると少女は母親に虐待されていて、誰かを傷つけたいという攻撃性を持っているとのこと。
ただ自分よりも弱い存在を守りたいという母性も強くあるため、更生できると考えています。
弱いもの・守るものがあることで、内に秘めた優しさを引き出せると萩尾は考察しました。
【第一章】ユキが描いた絵
ユキが子供を産んで死ぬ前に『七篠レン心の日記』内に何枚か彼女が描いた絵を掲載していました。
描かれていたのは、帽子をかぶった赤ちゃん、祈りを捧げる老婆、ユキに似た女性、少年、レンに似た男性です。
絵にはそれぞれ番号が振られており、重ねることではじめて意味を持った絵になります。
これらを重ねると、ユキが出産で老婆に殺され、成長した子供と父親が並んでいる様子が浮かび上がりました。
これから考察するに、ユキは同居していた直美に殺されることに気が付いていたのではないでしょうか。
【第二章】今野優太が描いた絵
第二章に出てくる少年、今野優太が描いた絵について考察してみましょう。
父親が亡くなりしばらく経って、優太は保育園でとある絵を描きました。
描かれているのは母親と息子、そして一室が灰色になっているマンションです。
この絵のネタバレ解説ですが、実はマンションは後から描き足されたものでした。
考察するに元は母親の墓を描こうとして、そこから灰色の部分、各部屋の順番で描き足されていったのです。
そして行方不明となった優太は、やはり実の母親の眠る墓地にいました。
【第三章】三浦が描いた絵・岩田が描いた絵
高校の美術教師である三浦義春の遺体が見つかりますが、そこにも絵が残されています。
描かれているのは山の風景ですが、美術を生業にしている義春が描いたにしてはあまりにお粗末な絵でした。
ここからネタバレ解説となりますが、犯人のアリバイを作るため無理やり描かせて、あえてこの絵を現場に残していたのです。
絵が下手であった理由は、後ろ手に縛られたまま補助線を使って描いた絵だったため。
そして犯人の存在に気づいた記者の岩田も、真犯人の正体を伝えるために同じ状況を作り出して同じ絵を残したのでした。
【エピローグ】
結末ではプロローグの絵と少女について再び考察しています。
ネタバレ解説ですが、この絵を描いた少女の正体は一連の事件の真犯人である直美でした。
心理学者の萩尾は直美に母性を感じ取り、更生の余地があると思っていました。
しかし実際の直美は弱い存在を守るためなら手段を選ばない、狂気じみた精神を持っていたのです。
もう一つの事件について
結末に至るまで解決しなかったのが、栗原の足の骨折の謎です。
真相は定かではありませんが、直美は自身の犯行に疑いを示した岩田や熊井を襲っているため、栗原の骨折も直美の仕業ではないかと考察できます。
敵を襲うときは足を狙ってから仕留めるという、直美の今までの犯行とも重なります。
ユキの罪とは?
結論として、ユキには何の罪もありませんでした。
『七篠レン心の日記』の一番愛する人へというブログには、具体的なことは書いてありません。
ここにはユキが描いた絵の意味をやっと理解したあと、自分の母親への憎悪と愛情が入り混じった文がしたためてあります。
レンはそのブログを最後に更新をやめ、そのまま命を経ってしまうのです。
ユキはなぜ逃げなかったのか
直美はユキに逆子のまま出産するよう仕向けたり、血圧が上がる塩入りのカプセルを飲ませたりしています。
重ねることで真実がわかる絵を描くなど、殺される結末をわかっていながらなぜユキは逃げなかったのでしょうか。
実は、直美の計画は穴があり不確かであるため確証を得られませんでした。
まさか気のせいだろうという油断から、このような結末になってしまったのです。
『変な家』と『変な絵』の関係性
『変な家』と『変な絵』には大きな関連性はありません。
しかし、2作では共通する登場人物が一部登場するため、両方読むとさらに楽しめます。
『変な絵』では大学生だった栗原ですが、『変な家』では建築家となって登場しています。
『変な絵』を読む
解説や考察を踏まえて、もう一度変な絵を読んでみましょう。
ネタバレ・結末を知っていたとしても、何度も読みたくなる面白い本です。
変な絵
雨穴の『変な絵』は75万部を突破し、コミカライズもされている長編のホラーミステリー小説です。
少女の描いた絵に、ブログに書かれた数枚の絵、男児が描いた絵、そして殺害現場に残された風景の絵。
あらゆる点が繋がり全ての謎が解けたとき、きっと最初から読み直したくなります。
ホラー好きや、ぞくっとするような不気味な世界観を楽しみたい人におすすめです。
随所に伏線が張り巡らされた読みやすいホラーミステリー
発売日 | 2022年10月20日 |
出版社 | 双葉社 |
著者 | 雨穴 |
まとめ
今回は、『変な絵』について、『七篠レン心の日記』が意味することや、重ねるとわかる絵の恐ろしさなどを細かく考察。
作品のあらすじやそれぞれの殺人の動機、散りばめられた伏線などのネタバレ解説もしました。
『変な家』では一見全く関係ない事件のように思えて、結末まで全てが繋がっている巧妙な世界観に没入できます。
ネタバレありでも楽しめるので、ぜひ読んでみてください。
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