『この世界の片隅に』を考察! キャストや最後の女の子、水原についても解説
広島・呉での戦時下の状況をテーマにした映画『この世界の片隅に』をご存知でしょうか。
この記事では、『この世界の片隅に』のあらすじと魅力、ラストについて徹底解説しています。
また、登場人物・キャストについての詳細と、座敷童や最後の女の子についての考察も解説。
後の2019年に公開された『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』との違いにも触れています。
『この世界の片隅に』のあらすじやラストの考察が気になる人、登場人物・キャストについて知りたい人は、ぜひ解説を参考にしてください。
この記事は『この世界の片隅に』のネタバレを含みます。
作品の結末に関するヒントを知りたくない人は注意してください。
『この世界の片隅に』のあらすじ
『この世界の片隅に』は、片渕須直によって2016年に公開されたアニメーション映画です。
広島の戦時下、絵を描くのが得意な18歳の浦野すずは、北条周作との縁談話が持ち上がり、受け入れて結婚することに。
北条家に嫁ぎ家事をこなす生活を送っていると、周作の姉である黒村径子が娘を連れて出戻ります。
空襲によって多くの人々が犠牲になる中、すずたちにも戦争の被害が及びますが必死に生きようとします。
戦争の悲劇と家族の絆を描き、生き抜く力と希望を伝える映画です。
『この世界の片隅に』の魅力
『この世界の片隅に』は、戦争と共存する形の普通の日常生活を描きながら、戦争の残酷さを浮き彫りにした映画です。
水彩画のような繊細な色彩が映え、人々の心に強く響く瞬間を描くことで、生活のかけがえのなさや普通の喜びが強く伝わる内容となっています。
見過ごしがちな魅力的な瞬間が生活の中に存在し、その魅力をアニメーションで見事に表現しています。
綿密な時代考証がすごい
『この世界の片隅に』は、綿密な時代考証が特筆される作品です。
戦争前後の広島県・呉を舞台に、時代の雰囲気や生活の描写が詳細に再現されています。
制作チームは、実際の歴史的な資料や写真を徹底的に調査し、当時の風景や衣装、生活用品などの細部まで正確に再現しました。
戦時下の物資不足や食糧難、疎開の様子など、戦争時代の日常生活の厳しさや制約が緻密に描かれています。
登場人物とキャストを紹介
『この世界の片隅に』の登場人物・キャストたちは、戦争時代の広島県・呉で生きる人々。
彼らの生活や人間性は、作品の魅力となっています。
ここではメインキャストを解説します。
浦野すず (のん)
主人公であるキャスト・浦野すずは、おっとりした明るい性格の若い女性です。
彼女は自由奔放で夢見がちな一面もありますが、戦争による厳しい現実と向き合いながら、家族や周囲の人々を支える強さを持っています。
浦野すず役ののんは、キャラクターの魅力を存分に引き出し、感情豊かに演じています。
北條周作 (細谷佳正)
登場人物の北條周作は浦野すずの夫であり、戦況の悪化から武官に異動させられることに。
彼は真面目で責任感の強い性格であり、すずへの愛情深さを持っています。
細谷佳正さんが声を担当し、北條周作の内面の葛藤や成長を繊細に演じています。
黒村径子 (尾身美詞)
登場人物の黒村径子は、浦野すずの義姉であり、何事もテキパキとこなす性格の女性。
彼女ははっきりとモノを言う性格で、すずに嫌味を言う事も日常茶飯事です。
しかし、だんだんとすずに対する気遣いも見せるようになります。
黒村晴美 (稲葉菜月)
登場人物の黒村晴美は径子の娘で、国民学校初等科への入学を控えています。
すずよりも幼いが、兄の影響で軍艦に詳しい一面も。
すずに懐き、純粋で明るくかわいらしい性格の持ち主です。
白木リン (岩井七世)
登場人物の白木リンは広島の出身で、朝日遊廓「二葉館」の遊女です。
闇市の帰りにすずと出会い友人になり、周作との関係も判明します。
絵のやりとりがすずと知り合うきっかけとなりました。
水原哲 (小野大輔)
登場人物の水原哲は、広島のすずの幼なじみで、海軍に入隊しました。
彼は幼少期から荒れた家庭環境に苦しみやさぐれていましたが、再会時には性格が丸くなった様子。
水原とすずは互いに意識しながら、すずは周作の妻となることで水原への淡い気持ちに罪悪感を抱くことに。
『この世界の片隅に』の考察を解説!
『この世界の片隅に』の中で気になるポイントについて、考察を解説していきます。
ネタバレになる内容なので、これから物語を見る方は注意してください。
人さらいの化物とワニは誰?
バケモン(人さらい)は、すずと周作が出会うきっかけにもなる謎のキャラ。
原作からは、戦死を報告された兄・要一の姿ではないかと言われていて、すずが描いた漫画「鬼イチャン冒険記」にヒントがあります。
冒険記では「鬼いちゃん」はワニの嫁と一緒に家を建てて仲良く生活することに。
映画では、バケモンのかごの中からリボンを付けたワニ(兄の嫁)がすずと周作に手を振ります。
化物の風貌やリボンを付けたワニの姿から、バケモンが要一であることが示唆されています。
また、すずの人生の変化や成長を、彼女が内面的に再び平穏な状態に戻ったことを象徴的に表現しているという考察もあります。
座敷童は誰?
座敷童の正体は白木リンでした。
白木リンは奉公先から抜け出し、すずのおばあさんの家の屋根裏に住んでいました。
おばあちゃんは白木リンが屋根裏に住んでいることを知りながら、彼女に食べ物を与えていたようです。
その後、彼女は貨物列車に無賃乗車し、呉へと移ります。
アニメ『この世界の片隅に』の作中で、すずが出会った女の子が座敷童であり、その正体が白木リンであることが明かされています。
白木リンは周作の好きだった人?
原作漫画では、白木リンは周作の好きだった人であることが随所で匂わされています。
映画版では大幅にカットされた部分ですが、追加カットを加えた『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』という作品では、詳しくその関係が描かれています。
リンが持っているノートの切れ端が実は周作のノートであり、大事に持ち歩いている描写も。
周作は白木リンと結婚するつもりだったが、家族の反対により断念したことが考察できます。
なぜ周作はすずと水原を一緒に居させた?
水原が北条家に泊まりに来た際、周作はすずを水原が寝ている納屋に行かせ鍵をかけました。
水原は戦場に向かう前で、もう帰れないかもしれないとのこと。
周作は兵士ではないということが若いながらもコンプレックスになっていた可能性があります。
水原がすずに恋心を抱いていたことに気付き、思い出にと考え、周作はすずと水原を一緒に居させたのかもしれません。
【ラスト】最後の女の子はどうなった?
最後の女の子は、広島の原爆投下によって母親を失った戦争孤児であるという設定が考察できます。
最後の女の子の母親は原爆投下の際に重傷を負い、最後の力を振り絞って子供の手を引いて歩きますが、力尽きて亡くなります。
ラストで女の子は広島の街を彷徨い、そこですずと周作と出会います。
すずと周作は一緒に呉へと連れて帰り、最後の女の子を養子として迎え入れ、共に育てることを決めました。
『この世界の片隅に』の意味は?
浦野すずのセリフに「この世界の片隅に、わたしを見つけてくれてありがとう。」というものがあります。
大人になった周作は、幼い頃の記憶を胸にすずを探し出し、結婚を申し込みます。
このことへのすずから周作への感謝の気持ちと、世界から見たら小さい存在だけど、幸せは日常の中にあるという気持ちが考察できます。
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』とは? 見る順番は?
2019年には、『この世界の片隅に』の片淵須直監督によるアニメ映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開されています。
これは2016年公開の『この世界の片隅に』の映像に新たなカットを追加して制作された長尺バージョン。
2019年版の『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』には、リンとの関わりが追加され、すずの女性としての感情や葛藤を描写するシーンが強調されます。
すずの周りの人物のエピソードも追加され、当時の生活がより詳細に伝わる作品になっています。
二つの映画からはまた違う印象を受けることが考えられるため、まずはオリジナル版を見た方がよいでしょう。
この世界の片隅に
1944年(昭和19年)、広島から呉に嫁いできた18歳の浦野すず。
すずが戦争の荒波に巻き込まれながらも、周作との結婚生活と家族の絆を築こうと奮闘する様子が描かれています。
配給物資の減少や困難な状況の中、創意工夫を凝らし、北条家の暮らしを守ろうと決意。
家族愛と絆を描きながら、戦争時代における人間ドラマを描き出している作品です。
戦争の中で紡がれる家族の絆と感動の物語『この世界の片隅に』
公開日 | 2016年11月12日 |
監督 | 片渕須直 |
出演 | のん、細谷佳正、稲葉菜月 |
本ページの情報は2023年7月時点のものです。
最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
まとめ
『この世界の片隅に』について、あらすじや魅力、キャストの紹介と、最後の女の子などに関する考察を解説しました。
記事では最後の女の子などの考察を解説しましたが、あくまで考察なので、ラストの受け取り方などは見た人の自由です。
様々な見方ができると思うので、自由に作品を楽しんでください。
さらに作品を知りたい人は『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』も見てみましょう。
『この世界の片隅に』は、キャストに感情移入してしまうこと必至であり、感動すること間違いなしのおすすめ作品です。
ぜひ一度ご鑑賞ください。
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