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『パラサイト 半地下の家族』を考察! あらすじやキャスト、ラストへの伏線も

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#考察

地下に降りていく、意味ありげで怖い雰囲気の写真
出典:Unsplash

※本ページにはプロモーションが含まれています

数々の賞を受賞し、世界中から高い評価を受けている映画『パラサイト 半地下の家族』。
前半では格差社会の現実をコメディも交えて描き、後半からは物語が一気にシリアスに。
最後には衝撃の結末が用意されており、観客に強烈な印象を残す問題作です。
今回は、そんな『パラサイト 半地下の家族』のあらすじやキャストを解説。
シーンの意味や伏線、ラストの結末について考察します。
あらすじや各シーンの意味を参考にして、作品の考察を深めてみてください。

この記事は『パラサイト 半地下の家族』のネタバレを含みます。
作品の結末に関するヒントを知りたくない人は注意してください。

目次

『パラサイト 半地下の家族』のあらすじと魅力

半地下住宅で暮らす全員失業中の貧しいキム一家と、高台の豪邸で暮らす裕福なパク一家。
正反対の2つの家族ですが、パク一家がキム一家を使用人や家庭教師として雇うようになり、接点を持ちます。
やがて、キム一家かパク一家に「寄生」していくようになるというあらすじ。
格差社会という問題に切り込みながらも、コメディも交えてテンポよく描き、観客を物語に引き込みます。
ラストの見事な伏線回収と衝撃的な結末は特に印象的で、カンヌ国際映画祭では最高賞のパルムドール賞を受賞。
アカデミー賞でも4冠を達成しました。

世界が注目! ポン・ジュノ監督

『パラサイト 半地下の家族』を監督したのはポン・ジュノ監督。
セリフだけではなく、俳優の細かい動きや小道具、背景にまで意味があります。
その伏線をラストで回収するストーリー展開は匠の技。
緊迫感溢れるアクションやサスペンス要素を詰め込みながら、その根幹には社会問題に通じるテーマが隠されています。

『パラサイト 半地下の家族』の登場人物とキャスト

あらすじに続き、映画『パラサイト 半地下の家族』の登場人物と、演じたキャストについて解説します。
世界から評価されている実力派俳優が揃い、キャストの配役だけでも魅力的です。

キム・ギテク (ソン・ガンホ)

ソン・ガンホが演じたキム家の父親ギテク。
どの仕事も長続きせず失業中ですが、家族を明るく引っ張ります。
パク家には運転手として雇われることに。
後半から大きく変わる表情や雰囲気からは目が離せません。
『殺人の追憶』をはじめとする数々の名作に出演してきたソン・ガンホの存在感が、物語全体をリードしていきます。

キム・ギウ (チェ・ウシク)

チェ・ウシクが演じたキム家の長男ギウ。
大学受験に失敗し続けており、友人の紹介でパク家に家庭教師として雇われることになります。
『オクジャ/Okja』に続き2度目のポン・ジュノ作品出演となったチェ・ウシク。
本作でも、さえない青年に見えて実は機転がきく、どこか陰のあるギウというキャラクターを好演しています。

キム・チュンスク (チャン・ヘジン)

チャン・へジンが演じたキム家の母親チュンスク。
元ハンマー投げのメダリストで、頼りないギテクにも遠慮なく喝を入れる、肝の据わった女性です。
出演作には『ポエトリー アグネスの詩』などがあり、演技力に定評があるチャン・ヘジン。
本作でも、どっしりと構えてキム家を支えるチュンスクを魅力的に演じています。

キム・ギジョン (パク・ソダム)

パク・ソダムが演じたキム家の長女ギジョン。
美大に行きたいがお金がないため予備校に通えず、独学を続けています。
パク家には家庭教師として雇われることに。
映画『プリースト 悪魔を葬る者』での演技が評価されたパク・ソダムは、がん治療で休養した後、復帰。
今後の活躍が期待される実力派若手女優です。

パク・ドンイク (イ・ソンギュン)

イ・ソンギュンが演じたのはパク家の当主ドンイク。
名だたるIT企業の社長ですが、威張ったりせず紳士的な振る舞いを見せます。
イ・ソンギュンは、『コーヒープリンス1号店』などドラマに多数出演。
清潔感のある堂々とした風貌はキム家との対比にぴったり。
2つの家族の格差をより一層引き立たせています。

パク・ヨンギョ (チョ・ヨジョン)

チョ・ヨジョンが演じたのは、パク家の母親ヨンギョ。
美しくて若い社長夫人で、ダヘやダソンの教育に関しては熱心ですが、家事は家政婦に任せきり。
そして、考え方は「シンプル」。
なんの疑いも持たずにギウやギジョンを家庭教師として招き入れます。
チョ・ヨジョンは、映画『情愛中毒』での演技がポン・ジュノ監督の目に留まり、出演が決まりました。

パク・ダヘ (チョン・ジソ)

チョン・ジソはパク家の長女ダヘを演じます。
ダヘは成績があまり芳しくない女子高生で、ギウが家庭教師として雇われることになりました。
チョン・ジソは、13歳までフィギュアスケーターとして活動していた経験もあります。

パク・ダソン (チョン・ヒョンジュン)

チョン・ヒョンジュンが演じたのは、パク家の長男ダソンです。
家庭教師のギジョンにはすぐに懐きます。
落ち着きのない少年ですが、実は鋭い勘を持ち合わせているという一面も。

ムングァン (イ・ジョンウン)

イ・ジョンウンが演じるのは、パク家の家政婦ムングァン。
パク家が厚い信頼を寄せている家政婦で、家の中を誰よりも熟知しています。
イ・ジョンウンは、映画やドラマだけではなく演劇でも活躍する名バイプレーヤーです。

グンセ (パク・ミョンフン)

パク・ミョンフンが演じるのは、ムングァンの夫であるグンゼ。
物語のキーパーソンとなる人物です。
商業映画への出演は本作が初めてとなるパク・ミョンフン。
舞台演劇でキャリアを積み上げてきた俳優で、本作で高い評価を得てからは映画の出演作も絶えません。

映画の見どころ解説! シーン伏線考察も

『パラサイト 半地下の家族』の見どころシーンを解説します。
最後の結末に向けて散りばめられた伏線の意味や、時計回りについての考察も行うので、参考にしてください。

2つの家族が映し出す貧富の格差

半地下に住むキム一家と、高台の豪邸に住むパク一家。
高台から低地へ雨水が流れていく様子を映し出すことで「縦の構造」を強調し、貧富の格差を描きます。
序盤、ギウとギジョンがWi-Fiを探すシーンからも貧しさが窺えるでしょう。
しかし、全員失業中のキム家ですが、ギウやギジョンにはそれぞれのスキルを使って、パク家に取り入ることに成功します。
一方でパク家は、お金はありますが無警戒で鈍感です。
能力がお金に直結するわけではない、という格差社会の問題を浮き彫りにしているといえるでしょう。

笑ってしまうギャグシーンも

社会問題を扱った映画ですが、前半には程よくコメディシーンも盛り込まれています。
序盤でギウやギジョンがWi-Fiを求めて家の中を彷徨うシーンは、その滑稽さに思わず笑いが込み上げてしまうでしょう。
他にも、ダソンが描いた自画像を見せられたギウが、「チンパンジーですね」と自信たっぷりに言ってしまうシーンなど、気まずいながらも笑える場面が盛り沢山です。

コメディから怖いシーンまで! 二転三転する展開

パク家がキャンプに出掛けている間にリビングでどんちゃん騒ぎを始めるキム一家。
楽しい時間を過ごしていると、チャイムの音。
クビになった家政婦が訪ねてきて、キム一家の秘密がバレてしまうのでした。
気まずい雰囲気の中、パク一家が帰宅するとの連絡が入り、一同は見つからないように身を隠します。
楽しいシーンが一転して怖いシーンに変わり、最後に待ち受ける目まぐるしい展開まで目が離せません。

気まずい? 時計回りのシーン

ソファで営みを始めるパク夫婦。
ヨンギョは「時計回りに触って」と頼みます。
観客も気まずいと感じてしまうシーンですが、しっかりと意味が。
ソファの下で会話を聞くギウたちの気まずいという感情を、観客にも感じて欲しかったそう。
またこの時、ドンイクはギテクの「臭い」について触れます。
紳士的に振る舞うドンイクも、実は貧困層を見下している部分があることが分かり、この「臭い」は衝撃のラストへとつながります。

グンセの驚きの登場

グンセの登場には驚いた人も多いでしょう。
パク一家に寄生していたのは、実はキム一家だけではありませんでした。
さらに下の階層の人間がいたのです。
グンセは借金取りから逃れるために、妻が働くパク家の地下室に身を潜めていたのでした。
高台の豪邸、半地下の住宅、そしてさらに地下室。
この3つの住処が韓国の格差社会を浮き彫りにします。

最後の結末は…

ダソンの誕生日パーティーの日、包丁を持ったグンセが会場に乱入します。
ケーキを運んでいたギジョンが刺され、会場は大混乱に。
混乱により気絶してしまったダソンを運び出すため、ドンイクはギテクに車の鍵を投げるように頼みます。
しかし、投げた鍵は倒れたグンセの下に落ちてしまい、拾おうとしたドンイクはグンセの「臭い」に顔をしかめてしまいました。
この行動が原因で、物語は最後に悲劇的な結末を迎えることになります。

水石が象徴するものは?

象徴的に描かれた水石の意味とは、一体何なのでしょうか。
水石はギウがミニョクから譲り受けたものです。
ギウにとってミニョクは憧れの存在であり、ギウは水石に「ミニョクのようになりたい」という希望を投影したのでしょう。
熱心に石を磨く描写や、避難所にまで持っていく行動からも、石への執着が窺えます。
しかし、最後にはその水石でグンセに殴られてしまい、水石は叶わなかった希望の象徴となりました。

【アンケート調査】『パラサイト 半地下の家族』の魅力を教えて!

ブックスコレクションでは、韓国映画好きな94人にアンケートを実施。
『パラサイト 半地下の家族』の魅力や名シーンをうかがいました。

『パラサイト 半地下の家族』の魅力
「依存症や社会不適合などにより闇金に手を出してしまった末路を上手く描写しているから」
「前半は、嘘に嘘を塗り重ねた家族がどんどんのし上がっていく様がおもしろく、後半はすべてが崩壊する怒涛の描写が容赦ない」
「底辺を生きる人々のリベンジ。富裕層を食い物にする様は悪いが、同時に痛快ですらある」
「韓国の「貧富の差」を住む場所の違いによってわかりやすく表現し、社会風刺してるところが魅力的」
「一つの家族がお金持ちの家族に寄生していく様々な手口や、どろどろしていく人間関係が見ていてとてもハラハラドキドキする。また、少しずつ明らかになっていくもう一つの家族があり、ずっと面白く見ることができる」
『パラサイト 半地下の家族』の魅力は?
『パラサイト 半地下の家族』の名シーンは?
「クライマックスである豪邸の庭で起こる刺殺シーンは、他に類を見ないカオスな名シーンだと思う」
「大事な父親を失ってもなお毎日父親にモールス信号を送るシーン」
「水没する家、全体から伝わる「貧困」という広くて深いテーマを、一切の妥協なく巧みに表す演出力が卓越している」
「キャンプに出かけた大富豪の家族が急に帰ってくることになり、そこの家で好き勝手やっていた主人公一家が慌てて隠れるシーン」
「終盤のシーンの、豪邸を買取り夢を叶える、というのが計画を語っていただけだったという儚いシーン」
『パラサイト 半地下の家族』の名シーンは?

・調査対象:韓国映画好きの94人
・調査期間:2023年7月
・調査方法:インターネットによる対象者へのアンケート
・調査機関:ブックスコレクション編集部

『パラサイト 半地下の家族』を観る

ここまで『パラサイト 半地下の家族』の解説や考察を行ってきました。
伏線や意味が分かると怖いシーンが多数ある『パラサイト 半地下の家族』。
映画を最後まで見てぜひ考察してみてください。

パラサイト 半地下の家族

公開日2020年1月10日
監督ポン・ジュノ
出演ソン・ガンホ、チェ・ウシク、イ・ソンギュン
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まとめ

『パラサイト 半地下の家族』のあらすじやキャストを解説。
シーンや伏線、ラストシーンの意味について考察しました。
格差社会問題を浮き彫りにした映画として、多方面から高い評価を受けた『パラサイト 半地下の家族』。
特に最後のシーンは衝撃的で、記憶に残り続ける映画となるでしょう。
散りばめられた伏線を考察してからもう1度作品を観ると、また違った楽しみ方ができるでしょう。

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