『蛇にピアス』を考察! あらすじやラストの意味、アマとシバの関係についても解説
金原ひとみが描いた小説を原作に、映画化された『蛇にピアス』。
「世界のニナガワ」と呼ばれ海外からも高く評価されている蜷川幸雄を監督に迎え、吉高由里子が初主演の作品です。
過激な描写やたくみに仕組まれたストーリー展開に、多くの議論や批評が生まれた衝撃作。
本記事では、そんな『蛇にピアス』のネタバレありのあらすじやタイトルの意味、気まずいシーンがあるかを解説。
結末に込められた意味やアマとシバの関係についても考察していきます。
この記事は『蛇にピアス』のネタバレを含みます。
作品の結末に関するヒントを知りたくない人は注意してください。
『蛇にピアス』とは?
『蛇にピアス』とは、小説家・金原ひとみのデビュー作です。
第130回芥川龍之介賞や第27回すばる文学賞を受賞しました。
芥川賞では派手な描写の裏に隠された繊細で純粋な物語が評価されています。
金原ひとみ本人の意向を受けて2008年に映画が公開されました。
『蛇にピアス』登場人物と映画版キャスト
はじめに、『蛇にピアス』の登場人物と映画版キャストについて解説します。
役の魅力をさらに引き立たせる俳優陣の演技力は見逃せません。
ルイ (吉高由里子)
本当の自分が分からずさまよっている19歳の少女・ルイ。
同棲している彼氏・アマの影響で身体改造に興味を持ちはじめ、人生が大きく変わっていきます。
本作が初主演となる吉高由里子が体当たりの演技に挑戦。
実力派女優の地位を固めるきっかけとなった作品です。
アマ (高良健吾)
ルイと同棲中で、古着屋でアルバイトをしています。
スプリット・タンに派手な刺青、顔中のピアスなど、かなりの身体改造を施していますが、ルイに対しては従順。
今や実力派俳優の地位を確立している、当時20歳の高良健吾が演じます。
シバ (井浦新)
刺青店のオーナーで、彫り師。
他人の苦しむ顔を見て興奮するサディストで、バイセクシャルの一面も持っています。
演じたのは井浦新で、当時の芸名はARATA。
もともと世界的なトップモデルとして活躍していましたが、本作では強烈な男、シバを好演しています。
吉田光洋 (小栗旬)
暴力団員の吉田光洋を小栗旬が演じます。
出演シーンは多くはありませんが、物語のキーパーソンとなる重要な役どころです。
『蛇にピアス』あらすじ内容1
生きる意味が分からずさまよっていたルイは、スプリット・タンのアマと出会い、恋に落ちます。
すぐに同棲を始めた2人。
アマはルイに、彫り師であるシバを紹介し、ルイも徐々に身体改造の魅力にハマっていくのでした。
やがてルイは、アマだけではなくシバとも関係を持つようになります。
そんなある日、街を歩いていたルイがチンピラに絡まれ、怒ったアマは相手を攻撃。
チンピラはその後死亡し、アマは警察から追われる身となってしまいました。
その頃ルイはシバに、龍と麒麟が絡み合った刺青を、2匹の瞳を入れずに彫ってほしいと頼みます。
『蛇にピアス』あらすじ内容2 (結末/ネタバレ注意)
犯人を探す警察に、アマが捕まらないよう必死に守っていたルイ。
しかしある日、アマが行方不明になり、数日後に窒息死した状態で発見されます。
アマは死ぬ直前にレイプされていて、陰部にお香が差し込まれていました。
アマの死から生きる気力を失ったルイ。
そんなルイを支えたのはシバでした。
そして一緒に暮らしはじめる2人。
ところがある日、ルイはシバの家で、アマの遺体から見つかったお香と同じものを発見します。
アマとシバの関係を悟ったルイは、シバに龍と麒麟の瞳を入れて欲しいと頼むのでした。
ルイは再び前を向いて歩きはじめます。
【考察解説】アマを殺した犯人は?
この章では、アマを殺した犯人についてネタバレありで考察・解説します。
作中ではアマを殺した犯人は明かされません。
アマの遺体から見つかったお香の種類や根性焼きのタバコの銘柄などから考えて、犯人はシバであると考察できるでしょう。
それでは、その具体的な内容の理由やアマとシバの関係について解説していきます。
アマとシバの関係は恋人?
シバはサディストでありながらバイセクシャルです。
アマとシバの間にも、恋人関係や肉体関係があったと考察できます。
アマの苦しむ表情に快感を覚え、アマへの愛情が行き過ぎてしまった結果、殺してしまったとも推測できるでしょう。
アマからルイを奪いたかった
ルイを本当に愛してしまったシバが、アマの存在を疎ましく思い、アマを殺したとも考察できます。
アマからルイを奪いたいという気持ちが抑えきれなくなったのでしょう。
しかし、アマとシバの関係は、この動機で説明できるような単純なものではないようにも思えます。
ルイが苦しむ姿を見たかった
ルイから大切な存在であるアマを奪い、ルイの苦しむ姿を見たかったという理由も考えられます。
シバはかなりのサディストで、ルイの苦しむ顔に快感を覚えていました。
それだけでは満足できず、もっと苦しみ悶える顔を見たいという欲求が、殺人の動機となったのでしょう。
アマの自殺願望を助けた
作中には、アマにも自殺願望があったと窺える台詞が出てきます。
アマの自殺願望をシバが助け、実行したという考え方もできるでしょう。
アマとシバの関係は単純ではなく、言葉では言い表せない絆が存在していました。
また、上記で述べた動機が複合的に絡み合って殺人につながったという考察もできるので、明確な答えは出せません。
【考察解説】ラストの意味は? ルイはなぜしゃがみこんだ?
渋谷の交差点を歩くルイがしゃがみこむ結末のシーンは、原作にはない映画オリジナルのシーンです。
このシーンはさまざまな解釈ができます。
愛の証としてアマから手渡された歯を飲み込んだルイは生きている実感を得て、再び自分探しの旅に出たのだ、と考察できます。
その一方で、「因果応報」のとも考察できるでしょう。
今まで好き勝手やってきたツケが回ってきて、アマかシバの子を妊娠、もしくは流産したという風にも考えられます。
観る人によって違う解釈ができる結末も、『蛇にピアス』の魅力です。
なぜ小栗旬や藤原竜也がチョイ役で出演?
小栗旬や藤原竜也は、蜷川幸雄監督の舞台作品の常連俳優であり、特別な信頼関係があります。
そのつながりから、本作への特別出演も決まったようです。
2人とも、出番は少しですがインパクトのある役どころで出演しています。
『蛇にピアス』には気まずいシーンがある?
映画『蛇にピアス』ではR-15指定で中学生は見ることができません。
性行為シーンやピアスを空けるシーンなどの過激なシーンがあるため、親と一緒に見ると気まずいかもしれません。
映画を見るなら、気まずい思いをしないように一人か友達と見るのがよいでしょう。
『蛇にピアス』商品・内容紹介
『蛇にピアス』のDVDと原作小説はAmazonや楽天などの通販サイトで購入可能。
また、映画はプライムビデオで視聴できます。
蛇にピアス
生きる意味が分からずさまよっていた19歳の少女・ルイの人生が、スプリット・タンを持つアマや彫り師シバと出会ったことで、大きく変化していく様子を描いた物語。
ルイは、アマやシバの影響を受け身体改造にハマっていきますが、それでも満たされず何かを探し続けます。
3人を待ち受ける結末に衝撃が走り、記憶に残り続ける作品です。
幼さの残る少女が経験した衝撃的な数年間を描いた作品
公開日 | 2008年9月20日 |
監督 | 蜷川幸雄 |
出演 | 吉高由里子、井浦新、高良健吾 |
原作『蛇にピアス』
発売日 | 2006年6月28日 |
出版社 | 集英社 |
著者 | 金原ひとみ |
まとめ
『蛇にピアス』のネタバレありのあらすじやキャストを紹介し、アマを殺した犯人や結末の意味、気まずいシーンがあるかどうかについて考察・解説しました。
『蛇にピアス』は、視聴者に解釈を委ねる内容が多い作品です。
その分、複数回観ればその度に違った意味や感情に出会える良さがあります。
すでに作品を観たことがある人も、この機会にもう一度視聴してみてはいかがでしょうか。
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