韓国映画『哭声(コクソン)』を考察 女の正体や犯人、あらすじやキャストについても解説
韓国映画の傑作だといわれている『哭声(コクソン)』。
巧みなストーリー展開やキャストの迫真の演技が観客の心を掴んで離さず、ファンが多い作品です。
一方で、謎に包まれたシーンも度々登場し、意味わからないと感じた人もいるでしょう。
そこで本記事では、韓国映画『哭声(コクソン)』について詳しく考察します。
あらすじやキャスト、女の正体や犯人、日本人男と祈祷師はグルなのかについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
この記事は『哭声』のネタバレを含みます。
作品の結末に関するヒントを知りたくない人は注意してください。
韓国映画『哭声(コクソン)』とは? 実話?
韓国映画『哭声(コクソン)』とは、韓国映画界で注目を集めているナ・ホンジン監督による作品で、2016年に劇場公開されました。
予測不能なストーリー展開とキャストの怪演が話題を呼び、韓国では観客動員数約700万人を記録しています。
キャッチコピーは「疑え。惑わされるな。」です。
リアルで生々しい描写も各所に入れこまれており、実話なのではないかという憶測も飛び交いましたが、実話ではありません。
あらすじ1/事件発生
平凡でのどかな韓国の村だった谷城(コクソン)で、村人が家族を襲い殺すという事件が立て続けに発生。
加害者の錯乱した様子から、「幻覚性キノコ」が原因だという噂が流れます。
事件の捜査を担当していた警官のジョングは、山奥に住む1人の日本人が怪しいと疑い始めます。
そんな中再び惨殺事件が起き、事件現場を目撃したと話す謎の女から「犯人に呪いをかけた悪魔はあの日本人だ」という証言を得るのでした。
あらすじ2/祈祷師にお祓いを依頼
その頃、ジョングの娘であるヒョジンが暴言を吐いたり、刃物で人に怪我を負わせたりと異常な行動を取るようになります。
ジョングは、娘もあの日本人に呪われたのではないかと考え、祈祷師に祈祷を頼みますが、娘の苦しむ様子に耐えられず祈祷は中断。
娘は病院に搬送され、ジョングたちは日本人を殺すために日本人の家に向かうのでした。
しかし、その道中で突然あの日本人の男が車の前に現れ、ジョングたちは男を轢き殺してしまいます。
呪いの根源が消え去ったことに、ジョングたちは安堵し、脅威は去ったように見えました。
あらすじ3/ジョング一家の最後
ジョングは家の前で、目撃証言をした謎の女と再び出くわします。
謎の女の正体は一体何者なのでしょうか。
女は「男の呪いから村人を守るために来た」と話しますが、女が身に着けていた衣服は一連の事件を起こした加害者たちと同じものでした。
本当の犯人は女だと気づいたジョングは急いで家の中に戻りますが、衝撃の光景を目の当たりにします。
娘のヒョジンが家族全員を惨殺してしまっていたのでした。
呪いはまだ終わっていなかったのです。
『哭声(コクソン)』キャスト紹介
『哭声(コクソン)』には魅力的な実力派キャストが沢山登場します。
日本の俳優もメインキャストとして名を連ねているので必見です。
ジョング/クァク・ドウォン
呪いに惑わされながらも娘のために奔走する父親・ジョングを熱演したのがクァク・ドウォンです。
彼のリアルな演技に感情移入できるからこそ、この作品が楽しめると言っても過言ではありません。
クァク・ドウォンはもともと映画やドラマの名脇役として知られていましたが、主演は本作が初めて。
ナ・ホンジン監督の『哀しき獣』での演技が評価され、『哭声(コクソン)』で主演に大抜擢されました。
日本人の男性/國村隼
日本人の男性役で出演したのが、日本でも知られている名俳優・國村隼です。
ふんどし姿で鹿に食らいつくシーンは特に印象的。
一方で穏やかな表情で村人と話すシーンもあり、惑わされた人も多いでしょう。
善人にも悪人にも見える、不気味さと存在感を兼ね備えた「よそ者」を見事に演じ切り、韓国の第37回青龍映画賞で人気スター賞と男優助演賞のダブル受賞を果たしました。
祈祷師イルグァン/ファン・ジョンミン
祈祷師イルグァンを演じたのが、韓国の国民的俳優ファン・ジョンミンです。
助演という立場で作品をさらに魅力的に仕上げています。
特に祈祷のシーンでの何かに操られたかのような怪演は見事なもの。
『華麗なるリベンジ』『国際市場で逢いましょう』『ベテラン』など、主演した作品が大ヒットし続けているファン・ジョンミンですが、脇役としての演技も見逃せません。
謎の女/チョン・ウヒ
物語の鍵を握る謎の女を演じたのが、実力派女優のチョン・ウヒです。
主演した映画『ハンゴンジュ17歳の涙』は数々の映画祭で賞を受賞し、高評価を得ています。
女の正体は一体何者なのか、と観客に引っかかりを残す序盤のシーンの演技は印象的。
彼女の話していることは本当なのか嘘なのか、観終わった後も疑問が残り続ける見事な怪演でした。
【考察解説】『哭声(コクソン)』は意味わからない?
『哭声(コクソン)』に対して意味わからないという感想を持っている人も多いようですが、それが監督の狙いです。
聖書をモチーフにして作られている部分もあるので、詳しく考察・解説をしていきましょう。
白い服の女の正体とは
白い服の女が初登場したシーンでは、石を投げていました。
聖書には、「罪を犯したことのない者が石を投げなさい」という一節があります。
つまり、白い服の女の正体は、「罪のない善の存在」だったということです。
また、「ムニョン」は韓国語で「名無し」という意味。
人間にはない特殊な能力を持ち合わせていることからも、人間離れした精霊のような存在なのだと考察できるでしょう。
誰が悪魔? 日本人が悪魔か神?
本作を観終わった後、誰が悪魔だったのかと疑問に思う人も多いでしょう。
しかし、誰が悪魔なのかは重要ではなく、監督は日本人男性を善にも悪にもなる存在として表現したかったのです。
「よそ者」の存在を恐れた村人は、結局「よそ者」を殺してしまいます。
その様子はキリストを十字架にかけたエルサレムの人々を比喩しており、監督はその疑惑や混沌を描きたかったのです。
最後の悪魔の姿は神父見習が想像した悪魔の姿だったのでしょう。
祈祷師は日本人男のグル?
結論から言うと、日本人男と祈祷師はグルでした。
祈祷師がふんどしを履いていたことや、日本人男の所有物である写真を祈祷師が持っていたことなどからもグルだという事実は明白です。
日本人男がキリスト、祈祷師が聖パウロの比喩だったと考えると理解しやすいでしょう。
実はこの映画にはカットされたラストシーンがあります。
そこでは、祈祷師イルグァンが運転する車に日本人男が乗って立ち去っていき、その様子をじっと見つめる白い服の女の姿が描かれています。
真相が観客に伝わりすぎてしまうため、このシーンはカットされました。
【考察解説】事件の真犯人は? 映画が描きたかったことは?
事件の真犯人についての考察や解説はいろいろありますが、おそらく本当に毒キノコの影響だったのでしょう。
毒キノコが引き起こした事件を一方的に「よそ者」のせいにして、「よそ者」を排除しようとする集団心理の恐ろしさ。
そして、霊能者バトルに巻き込まれて冷静さを失い、混乱していく市民の様子。
『哭声/コクソン』が描きたかったのは、このような人間の生々しく恐ろしい姿だったのです。
『哭声/コクソン』を配信やDVDで観よう
『哭声(コクソン)』はアマゾンプライムビデオにて配信されているほか、Amazonなどの通販サイトでDVDを購入できます。
いつでも気軽に視聴できる配信サイトなら、登録すれば他の作品も楽しめるのでおすすめです。
哭声/コクソン
韓国の谷城(コクソン)という平和な村で、村人が家族を虐殺する事件が相次いで起きます。
事件を担当する警官ジョングは、山奥に住む1人の日本人が怪しいと疑い始めます。
やがて呪いの手はジョングの娘であるヒョジンの身にまで。
予測できないスリリングな展開やキャストの怪演から目が離せない韓国サスペンス映画です。
呪いに惑わされる人々を生々しく描いた予測不能のサスペンススリラー映画
公開日 | 2017年3月11日 |
監督 | ナ・ホンジン |
出演 | クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村隼 |
まとめ
韓国映画『哭声/コクソン』のあらすじやキャストを紹介。
女の正体や真犯人、日本人男と祈祷師はグルだったのかについて考察・解説しました。
『哭声/コクソン』には正解はなく、観た人に解釈を委ねている作品です。
だからこそその世界観に没入し、何度でも観たくなるのでしょう。
Blu-rayや配信サイトで『哭声/コクソン』を視聴して、自分なりの考察を楽しんでください。
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